詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][得票][編集] |
たとえば僕の命が明日までだとして
最後に一つ詩を残すとしたら
どんな詩を書くかな
僕は何をするのかな
きっと見つからないと想う
明日までの間にやりたいことなんて
きっと詩は書かずに終わると想う
遺作みたいで淋しすぎるから
何もせずに
僕はペンを置くよ
何もせずに
ただいつものように
空を眺め
君が作った夕飯を食べるよ
そして
ついに終わりの日がきて
僕は君に看取られながら
静かに逝くよ
詩を書かない代わりに
僕は言うだろう
精いっぱいの声で
君の手を握り
"ありがとう"と
それが僕が君に贈る最期の言葉であり
この世で最も
愛すべき詩なんだ
ただ短く重い
その言葉を言い終えたとき
僕はその人生を閉じよう
いつもと変わらない静かな木漏れ日が注ぐ
部屋の中
静かに逝くよ
そんな事考えたら少し
淋しくなって
急に涙があふれて
僕は改めて
命の重さを知らしめられ
幸せの在り方を学んだ気がする
そんな夏の午後の中
僕は一人
椅子にもたれながら
今日も詩を書いている
書かずにいられないこの気持ち
抑えきれないこの気持ち
誰かに伝えたくて
君に伝えたくて
僕は書くよ
涙するときも
僕は書くよ
書く以上は 書く限りは
本気で書かせてもらいます。
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