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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1037] 無音の世界
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


子供達の笑い声も
街のざわめきも
全て
届かない世界に行けたなら
どんなにいいだろう
君の悲しみを
僕は解ってあげることはできるけど
癒してあげることまではできないんだ
君が失ったものは
もう取り返せないから
もう戻らないものだから
ただこうして
寄り添うだけ
それだけしか 僕には…

立ち止まっていたら
切り開いていたはずの道が塞がった
振り返ってみたら
そこはもう暗闇の真夜中で
遠くの方で
自販機の明かりがかすかに見えるだけ

君を救える術を
僕は知らない
君を慰める術を
僕は持ちえない
ただ側に寄り添うだけ
ただそれだけで
君は笑ったフリ
ただそれだけで
僕は胸が締め付けられる思い

ああ
世界はどうして
君とそれを引き離した?
ああ
悲しみの中で
生まれるのは悲しみでしかなく
きりのない連鎖の中で繰り返すだけなのに
君の胸の中で
今日もまた悲しみは生まれているっていうのに
僕は何もできずに
ただ
涙する君の背中をさするだけ
無力感に打ちひしがれて
僕は悲しみの音を拾う
一つ一つ落とさぬよう こぼさぬように
君の悲しみの音を拾う。

2007/05/03 (Thu)

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