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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1139] 誰よりも好きだった
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


いつの日かこんな風に
ただだらしなく過ごす日々が
楽しく笑い合う毎日を
懐かしく思い出せるように
胸のポケットそっと笑いながらしまって

雨は降る
いつだって決まった時間なんかなく
予想もしない晴れた空からも降る
いつだって僕はそう
難しく考えすぎる
だから複雑になる
簡単なことも難しいと思い込む
だから僕は君を見失った
だから
だから
こんな退屈な日々をいい加減に終わらせるんだろう
一日中ボーッとして
気づけばいつも眠り込んで
ただ流れ去るままに
僕は流星になる
もう二度と流れてくることもない
一度きりの空を流れゆく流星になる
いつか
恋をした
ピンク色の頬をした
可愛らしい流れ星のあの子に
だけど
だめだった
僕なんかじゃ
釣り合わなかった
僕はめんどくさがりで
君は几帳面でおしとやかだったから
そして何よりも
君は僕が今まで見てきたどんな誰よりもきれいな心を持っていたから
だから尚更
汚い僕の手でつかめるような子じゃなかった
だからなの 僕よ
雨のあの日逃げたのは
それを言い訳にして
逃げきったのは 僕よ
だからこんなにも胸が痛んで
忘れられないのさ
君は僕が感じた痛みよりも悲しみよりも
もっと悲しい日々を過ごしてきたから
独りぼっちの君は
だから
そんな君を置き去りにした僕の罪はずっと消えない
ずっと
ずっと
君のこと悔やんでる
本当は好きだったから誰よりも
誰よりも好きだった
君のこと惜しんでる
ずっと
ずっと
逃げ際に見た君のあの日のさびしげな顔が頭から消えない
嘘じゃなく好きだったから
あの日の僕が愚かすぎたから
だから
だから
僕は今日も思い出してしまう あの日を。

2007/05/20 (Sun)

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