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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1181] 19年代の音楽
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


19年代の音楽を今
懐かしがりながら聴いていたのさ
目を閉じれば今も鮮やかに思い出せるほど
その時代は僕にとって
かけがえのない輝いていた日々だった
泡のようにおぼろげな記憶
手繰り寄せて初めて色づく思い出のメロディ
いつまでも忘れたくない19年代の音楽

ひどく静まり返った部屋の窓から
見える景色は眺める度その良さを知っている誰もを懐かしさで悲しくさせる
ビルとビルの間
変わり過ぎた街並み
失いすぎたもう戻らない大切な何か
思い出せないのは
あの日、すべてむりやり忘れてしまったから
でもうっすらとした側面だけは忘れられずに悲しいことに記憶に寄生する

忘れることもできないまま
僕はずっとほろ苦い二十世紀の風を受けてこのまま時間につれられて知らん顔で歩いていく
一歩、一歩、また一歩と
僕は終わりが見えるところまで
時間から逃げ出せもせず歩かざるを負えない
だから懐かしさを胸に
19年代の音楽に身を寄せるしかないんだ
あたらしい時代の色に染まりきらないように
この懐かしさを忘れないように。

2007/06/11 (Mon)

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