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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1285] テールランプ
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


世界は今も変わり続けてる。そのことに僕は単純に気づいてないだけさ
別に悪いとかだめとかじゃない
振り返った道は遠く点線をなぞるようにひとつの線になって並ぶ街路灯
灯りさえついてない道を
これから歩いていくんだね
せめて、少しは誰かに寄り添っていたい
それがたとえ嘘の愛でも独りよりは何倍も心強いだろう
"君といれる今だけ"は君は僕だけのつもりでいるのだから

テールランプが光っているのが見えたら
もうちょっと行ったその先にあるのが未来だよ
ほら頭がはみ出てるだろう
僕には見えるけど君には見えるのかなぁ

かすかな灯りの中
暗闇に寄りかかって
目を閉じ心を落ち着かせて
焦らせずゆっくりと焦らないように僕が気をつけて行かなくちゃ
それでも僕と君との未来はきっと約束はされないだろうけど
今だけは君といれるこの今この瞬間だけは
彼処にたどり着いても変わらずに心にあり続ける
忘れてしまうことなんてせずに
独りで生きるためのささやかな灯りに思い出すよ
君の笑顔
変なふうに周りから見られても
僕は忘れないで嘘だとしても君とのあの楽しかった時間を記憶から消しはしないさ

テールランプが消えるころ
君の姿も霧の中へ消えてしまう
この右手の手のひらに残るかすかな温かさ
その時、はじめて泣くことにしよう
それまで僕は涙せずに笑っているとしよう
せめて君の前では
どんな想いでいるのかは考えずにただ笑っているとしよう。

2007/07/21 (Sat)

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