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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[1937] 物言わぬ植物E
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


まだかなあと…まだなのかなあと
僕はわざとじゃない
純粋なだけの気持ちをもって風にたずねる
その瞳はそういつかの…いや今もそうであるカエデのやさしく純粋なまでに輝くこのカエデのようで…
お互いにどこか似たもの同士の私たちは波長が合い
大人になっても話し合った
カエデさん、カエデさん
今日はなんの本を読んでると思う…?
なーんて純粋なはずの心がいつからか常識だらけのつまらない現実を知り夢やあったらなという奇跡のような考えを自分の中で論破したとしても私はしきりに話しその話はやめない。私はあなたと話したいのだから最初から話せるか話せないかなどどうでもいいのだ。ただあなたという父親と話がしたかったからであって。一度もあの日から話をしたこともないからその声も知らなくて見たことすらなかったあなたの姿がはじめて記憶にあったのと同じだとすればあなたが父親で私はそんなあなたを父親だと信じたいだけなの。あなたのことだけは忘れない そしてあの記憶には残念なことにひどくおぼろげな、でもそんなお母さんだとしてもね
見放さない
私はあなた達の子供なんだから当たり前だとも譲り受けたやさしさを抱きしめていく いつまでも変わらぬそのやさしさを持ち続けてと父親はつぶやいてくれるから 今も忙しい足でも行く度につぶやいてくれるから
ちっとも寂しくないの
父親は居るからね
いつでもこの場所に
居るからね
父親は居るからね
どんなに悪い罪をおかした人だとしても父親は父親だからね
それだけは変わらないからねと

2007/12/25 (Tue)

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