詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
名前のないこんな1日にだって
僕はきっと何かを探し求めてる
ただ好きなことばっかしやっていたいから
なんて聞こえてくる心の奥のわがままで身勝手な声に耳を貸すのかい?また今日も
生まれた街の風が広い海を渡たっていき淡い月の光に照らされた歩き慣れた海沿いの長い路
ずっと悩んでた
ずっと考えてた
でもどちらの答えも僕には選べなくて決められなかった
結局最後まで僕は心の中であっちにこっちに行き来してただけ
あれからいくつの年を重ねいくつの涙を流し
あれからいくつの時が経ちいくつの笑顔を浮かべられた
僕を照らしてくれる人たちの期待のために生きてはいないけど
そのせっかくの期待に「少しでも添えられたなら応えられたらいいな」なんて想い始めたとき僕ははっと気づけばもう夢見て喜ぶ歳でもなくてふるさとに向かう鈍行列車の中 窓から見える懐かしい景色に見とれ もうすぐ着くよと家に連絡をいれるんだ
なんでもないような1日がこんなにも大事な1日に変わる
それまでの時間はあっという間で待たされるほどかからない
輝くあの若さの向こうにはきっと僕自身でさえもわからない何か忘れてはならなかったささやかな光が遠くなる意識の最中(さなか)に見えた重い瞼を閉じようとするぼんやりとした視界の奥にうっすら見えたような見えなかったような気がした
目を開くとちょうど終点で降りた駅
菜の花畑一面黄色い春の里 ここが僕のふるさと少し歩けば海沿いの路にでる
心にいつでも浮かんでるふるさとは消えてなくなったりはしない ただその記憶だけは目の前から跡形もなくもう二度と感じられはしないが あまりの暖かさに眠ってしまって目を開けた瞬間に見えたあの懐かしい匂いはきっと永遠に変わらない僕をいつまでも帰りさえすればやさしく迎え入れるふるさとのそれがみんな大好きな帰るべき場所のふるさとの表情だから
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