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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3068] 人は自分を完全には嫌えない
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


あれから ボクは何年同じ気持ちのままで生きてきたのでしょう
あれからとそれからにこれから
思いを泳がせる場所はひとつにとどまらない
子供みたいに言い訳ばっかりしてそんな自分が大好きで
その分傷ついてゆくことがいつまでも嫌いで
世の中のあのどんよりとした空気になれなくて
失敗ばかりしてしまう

なにもかもが嘘ならばよかったんだ
そんな口答えも愛してる

人は自分を完全には嫌えないのさ
なぜなら自分に与えられる苦痛や悲しみはすべて自分へと伝わるから
思わずかばってしまう
甘さや生やさしさ捨てきれない
つい自分を抱きしめてしまう

みんな みんな
自分が大好き
自分が大嫌いなんて人はいない
いても嫌いどまりだ
完全には嫌えないんだ
完全に嫌ったら自分という存在が破滅してしまうから
自分の存在を自分で否定することは無意味に分裂した言葉がぶつかり合って打ち消すだけ
結局はその言葉も自分を傷つける刃と化す

だから どこまでも人は自分を愛してく
だから いつまでも人は自分を愛すんだ

その思いだけはかき消せない事実なんだ

疑うなら確かめてごらん 自分を自分でくたばるまで殴れるかい?…他人なら別だろうけど、自分は自分をある程度しか嫌いになれないしくたばるまで傷つけるなんてなかなかできない

自ら命を絶つ人も自分が大好きだから
それゆえに傷つけられたり世の中にペコペコするのが嫌だから命を絶つんだ
決して自分が嫌いになった訳じゃない
そうだろう?
だから人は流れるようにまた人の群の中に戻りけだるいルールを守る生活をやむなく殉じる

それが人だよ
それが自分に対する自分の扱い方だよ

だから人は自分を完全には嫌えない
だから人は自分を心の底からホントは愛したい
自分は一番の味方だからどんな自分もじつは溺愛してる。

2008/11/07 (Fri)

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