詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][得票][編集] |
昔どこぞの国に双子の二人の王様が住んでたとさ どちらが国を支配するかでもめてたんだ
仲が悪くて分かち合えない二人は面倒だからと範囲を決めて
ここは弟様の支配下
ここは兄様の支配下
と決めたんだ
でも見た目には変わらないし判別することの難しい二人は時々間違われるよ
喧嘩するほど仲がいいとよくいうけどこの二人にはどうやら無縁らしい
だけれどそうでもないような場面いくつか見受けられるよ
二人とも互いを憎んでるわけじゃない
だから二人で国を統一する日もそう遠くない
あとは違う二人の意見をうまくまとめるだけにおさまってる
弟はのんびり屋で争いごとが嫌いなやさしい王様
ところが兄は気が短くてすぐに怒る気性の荒い生意気な王様
育ったところはおなじ親もとうぜんおなじなのにどうしてここまで違うんだろう
こんな似ても似つかない二人だけど兄の国にはやっぱり兄とおなじような性格の人が集まり弟の国にはやさしい人が集まった
ひとつの国の中に二人の王様と半分に分けられた国
悲しいけどそれがやっぱり正しい
やさしい国をつくりたい弟は兄の国にはやっぱり関心が持てなかったみたい
兄弟でも目指すものが違えば離れるよ
でもやがて兄の国は互いが互いにわがままな人ばかりなので争ってとうとう兄の国ごと滅びたんだ
弟はそんな兄に手をさしのべた すばらしい兄弟愛だ
兄もその弟のやさしさにふれ考えをあらためた
やさしさというものを身をもって肉親の弟に知らしめられたから
兄は痛く弟に感激し弟のやさしい国づくりのために滅びてくちた兄の国を再建してひとつの国をつくった
あくまでも支配者じゃなくまとめ役だと兄は笑った
それから何十年と経ってすっかり二人も歳を召して王様をやめるころかつてその二人は喧嘩してたなんて国民は疑うのでした
だって今こんなに二人は仲良しだから。
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