詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][得票][編集] |
この草は花を咲かさない
永久に花をつけない草だ
だから草は花になるほかの草をうらやんでた
だって自分は願ったって花にはなれないから
一生草のまま
甘い蜜もいい香りもない
緑色して 風に揺れてるだけの雑草だ
悲しいけれど 夢みてしまう いつか花になれる日を
僕は夢見草
夢みがちな雑草
名前をあかすのも恥ずかしいほどだ
いつだって
花を咲かし見せびらかすあいつ等がうらやましい
僕ももし花に生まれていたら
花になれない雑草をばかにするのかな
夢をみた数だけ切なさがあって変わらない姿 水たまりに映して
草はただ枯れるのを願って待つように
朝露の涙を流すんだ
しゃべらないけど
そんな草もいるよ
悲しいくらい僕はつまらない植物だ
卑下してばかりの毎日が流れるけどお日さまだけが僕を励ます
それも君の運命だよ それも君がもつ独自性のいいとこだ
決してやさしい言葉じゃないけど
ばかにする花たちよりは嬉しい言葉
太陽よ 厳しい言葉ありがとう
ありがとう
元気になるよ
草として 凛と背を伸ばして 誇らしく花はなくても
僕は僕
そんな気持ちひとつ生まれた今日はなんてステキな日
坂道 日だまり
かけていく冬の風
僕は少しだけ身震い
でも笑えてた
何故かな
何故かな
草なのに笑顔浮かべてる
神様が花になれない代わりに笑顔くれたのか
それならば花になれるより素晴らしい
あいつ等に自慢できる
太陽よ 見てるかい
はじめて 草に生まれてよかったと思える
そんな日はとびきり幸せデイ
僕の名前は夢見草
月見草じゃないよ
僕の名前は夢見草
おぼえてね…
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