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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3521] それでも夜は更けてゆく
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][得票][編集]


明るい鮮やかな朝を待たずにおとずれる朝一番目の不安が今日もどっさり僕に覆い被さる
その中に埋もれていく僕とタイムアップが近づくたび不安材料がふえてく
憂うつな気持ちで見上げた空はどんより曇って見える

雨など降ってない
誰でも見りゃわかる
だけれど僕の心には晴れてる空とは対照的にやまない悲しみの雨が降り続いてる それはずっと昔から
他人にはわからない理由で涙がポロポロ せつなさなどもつのる
だからよけいに孤独になり独りよがりなわがままと片付けられる 現状が出来てしまう

それでも夜は更けてゆく たくさんの不安を背負ったまま
引き連れて出かける僕の車のトランクにも入りきらないくらいだから心からはみ出してしまう
重い足取り 引きずるようになんとか前に進む 少しずつよちよち歩きで
ぴよぴよヒヨコみたいに
びっこを引いているよ

「仕方ないや…」
そんな安っぽい言葉で片付ける僕もどうかとは思うけど
それを笑ってゆるしたあの時の僕もどうかと思う
今でこそ言えるよ

それでも気がつけばそこに朝が咲き
目を閉じているようにとぼけたふりを押し通すうちに1日が終わる
暮れゆく空の真下にある電線にカラスが何匹か群をなして一斉に飛ぶように
思えば一瞬
振り返れば長く
僕の1日は終わる
もう戻らない1日が映画を観終わったあとみたいにさり気ないさよならで幕を閉じる

バイバイ…それだけで
言葉も役に立たない
自分をなぐさめる
痛みも安らぎも眠りの中では無痛だし何も感じない
だから言葉だけで安らげてなんかいない
むしろ不安が増したよ
その喜びはつかの間のものですぐそのくだらない安堵は昨日の続きでため息に変わる
カレンダーの数字を目で追いながら
昨日と違う何かを今日で探す
そして時間は狂うことなく始まり・終わりを正確に生けとし生ける者に告げる。

2009/01/15 (Thu)

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