詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][編集] |
クラゲ君 君は暗い海の中をさまよって
僕ら人間よりずっと短い時間を生きてる
クラゲ君 だけれど精一杯その短い時間の中で色濃い時を刻む
なんて素晴らしいんだ マネデキナイヨ
種の寿命の中でも最も長い命をもつ僕らでも
種のリーダーのような顔をしてる僕ら人間はそんな姿勢など微塵も見せずに愚かにも支配者の顔
独占しているような顔で世界を我が物顔で踏み荒らす そんな輩がはびこる
クラゲ君 君はいいな 地上の愚かさをしらなくて
海の中にいればそんなくだらない現実をしらなくていい
降りかからない
自分にも
関係ない
まったく素晴らしい隠れ家さ
別に君をうらやましく思ってるわけじゃないがあまりにも素晴らしいから
僕も海にあこがれているよってだけ
その柔らかそうなからだにもたくさんの悲しみを詰め込んでいるのかな
海には海の愚かさがあり
地上には地上の愚かさがある
光があれば影が寄り添うように在るように
かならず影の部分は存在するから
クラゲ君 安易に責めたりうらやんだ僕をゆるしておくれ
軟体動物 やわらかい皮膚
無脊椎動物 背骨がない話せもしない
哺乳類 肉も食うし草も食う僕ら
脊椎動物 背骨があるから痛めたり折ったりする骨折医院通いもする
理科でたしか習ったよ
こんなにも違う生き物なのにどこか僕には親近感感じるよ
クラゲ君と僕にはどこか似たようなつながある
一見なんの迷いもなさそうな見た目とは裏腹に人にはとても言えない悲しみや不安抱えてるとことか似ているよ
重ねてしまう影と影
涙は流せなくても
泣き声を出せなくても
それでも声にならない叫びを胸の中で爆発させてる
ただなんとかこらえてるだけだよね
ギリギリのラインで
クラゲ君 不器用にそれをあらわす
身を守る毒も持つはずさ 生きてる間じゅうずっと思春期 迷いの中。
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