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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[621] 憂うつな花園
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


どこだか知らないけれど名前も知らないけれど
幻の花園がどこかに在るらしい
一年中寒々とした冷たい風が吹いていて
草花は枯れきり
空はいつもどんよりとした不安になりそうな曇り空で
鳥といえば烏ぐらいがたまに気晴らしに飛んでくるだけだ

人は誰も住みたがらず
何年も前から空き家となっている住めそうもない蔦の絡まる
家の原形をなくした廃墟がいくつか並んでるだけ
そうしていつしか人々からすっかり忘れ去られて
幻になってしまった
悲しい悲しい花園

孤独で嫌われ者の僕が住むにはもってこいの場所だと思う
邪魔するもの遮るもの
なにもないから
僕はここでなら伸び伸びと暮らせるよ
美しさなんて欠片もないほどにかけ離れた
汚いだけの花園
でも僕にとっては楽園だ

僕はこの花園に
名前を付けたんだ
誰からも忘れられた
僕とおんなじ孤独が板に付く
全くというほどなにもなくただ憂うつなだけの『憂うつな花園』

錆び付いて今にも壊れてしまいそうな
ブランコがキーキーと嫌な音を立てて揺れている
ただそれを見つめているうちに一日は過ぎる
住むもの、暮らすものを憂うつにさせる
憂うつ以外の何物でもない
だから『憂うつの花園』。

2007/03/09 (Fri)

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