詩人:アル | [投票][編集] |
私的な仕合わせを
恋々と追求すれば
詩的な堕落に陥る
詩的な皺寄せに
連々と拘泥すれば
私的な寂滅を迎える
私的に詩的か
詩的に私的か、ではない
私か詩か
ふたつにひとつ
私的に生き残るか
詩的に消え行くか
中途半端は許されない
真実は言葉より行為に宿る
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調子の好い時は
邪魔者扱いで
困った時だけ
当たり前に
頼ってくる
暑い陽射しも
冷たい雨も
ぼくに任せて
いつだって
きみの味方だから
気骨はあるつもり
だけど
折れやすいのが弱み
信じているけど
時々慌てて
忘れそうになるよね?
ちょっと寂しい心の雫
ベンチの足下に滲ませ
次の電車が来るのを
湿りがちに待っている
「ぼくって一体
きみの何?」
ずっと
開けないでいる言葉
持て余して
今度もまたきっと
折り畳むんだろう
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主観・客観は
視点の立ち位置
ではなく
経験の寡多の問題に
過ぎない。
例えば幼児に於ける
客観性の希薄さは
経験不足に起因する。
経験回数の集積により
体験的確信は漸次
暖色的主観から
寒色的客観の色彩を
帯びて来るが
そこには
外観上のらしさが
あるだけであり
それは条件が変われば
いつでも揺るぎ、動く。
客観は主観が
自由に遊び回る事を
好まないが
主観も客観の監視と制約を
敬遠したがる結果
両者の妥協を前提とする
陣取り合戦は
ゲリラ戦の様相を呈して
いずれかが身を退くまで
果てしなく続く。
他罰性は
自己認識の欠如に因る。
人は鏡に依ってさえ
実像を見誤る。
ほぼ同じ理屈で
自罰性は
自己認識に於いて
本質から遠去かる。
従って
正しい人など
何処にもいない事になる。
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嫌いにさせてくれて
ありがとう
むかし投げられた
そんな台詞を
ときどきフォルダから
取り出してはコピペして
てのひらに乗せて
ぼんやり眺めてる
日付と時刻の
タイムスタンプ
boldで打ち込んで
たった数行の日常を
凍結すると
また今日によく似た
明日がやって来る
歳月が踏みつけ
ペタンコになった
切なさ折り畳んで
上書き保存を繰り返す
読み上げ機能使って
聞くそのコトバは
無機質なデジタル音で
もうきみの声には
1ミリも似ていない
嫌いになれなくて
ごめんね
賞味期限切れの
枯れかけた言の葉が
枝先で落ちるともなく
風に吹かれてゆらゆらり
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あのさ、
自分のに入れろよ?
いいじゃん、ケチ!
そんな問題か?
歩きにきにくいんだよ
あ、なんか入ってる
カイロだよ
卑怯者め!
自分だけ暖かければ
いいの?
冷え症なんだから
おまえ手袋すれば?
こっちのが暖かいもん
自分のコートの
ポケットに
手を突っ込んで
その中の
彼女の手を握った
絡み合った指先から
毛細管現象のように
シアワセみたいのが
じんわり沁み込んでくる
あなたの手冷たい
手袋いる?
いらないよ
やっぱ、
こっちのがいい
でしょ?(笑)
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食欲に焦がれて
胃の中の小石で
すりつぶし
無理に消化した
欲望は
愛へと昇華した
肉欲に倦んで
搦ませ合った指から
柔らかく
温かな脈動が
伝わってくる
手のひらに
汗までかいて
「血が通ったね
今ぼくらに」
夕焼けで
マグマ色に染まった
肉食獣の2頭の影が
大地に長く伸びている
そのシルエットは
いつまでも
そこにあり
1ミリも
動かなかった
まるで
化石になったみたいに
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水平に伸びた
その左手の指先は
何に触れるのだろう
歌うことが
衰えを知らない
病を癒す薬なら
境界の曖昧な輪郭を
確かめながら
混沌の泥沼に
立ち続けていられる
No.999
泣いてなんてない
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19才!?
若っ!
どうオレと
付き合わない?
あ、年上ダメか?
ごめんなさい
年上とかぢゃなく
オトコ同士だし…
じゃ、なにか
キミは
男を逆差別する
つもり?
「逆」に
なってませんよ?
あ、わかった
キミ、ドーテーでしょ?
ち、ちがいますよ!
ならイイじゃん
え?
オレと付き合っても
いや、だから
男同士ですから…
じゃ、なにか
キミにとって
愛には性別が
絶対条件なのか?
冬山とかで遭難したら
キミは男より
女を助けるのか?
極限状況下では
女性の生存率が高いと
WHOが言ってるのに
敢えて強い方を救うのは
勝馬に乗ろうって
魂胆なのか?
コノ卑怯モノが!
あの…
意味がわからない…
だから、
オレと付き合わないか
キミとなら…
先輩…
うしろ…
ん?
振り返ると
彼女がこっちを睨んでた
…さ、
真面目に仕事しょっか?
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自分のためにと
考える時、
つい守りに入って
ぼくは逆に
弱くなるけど、
自己を超えた
大切なもののためなら、
いくらでも
強くなれる気がする。
総てのことには
順番があって
欲しがるばかりで
捨て去ることを
覚えなければ
一番大切なものを失う。
それで生き延びたとして
そんなものに
何の価値があるのだろう。
権利<義務=大人
だとすれば、
この国は
いつまで経っても
大人になり切れない、
中年オヤジの
ピーターパンみたいだ。