黒髪、頭皮のその下の。頭蓋の奥の、思考跋扈の温床。例えば見栄て、触れ得てさえ、ぬらりと捉え処なく。うたかたにうつつ抜かして。朝霞の帳隔てられては味気なき薄ら茫洋。いつかは果てる境、手まさぐりに痛痒の如く掴めぬ実体。遊園回廊の影絵。操る傀儡、四肢踊り。縺れる肢体でてんてこ一差し舞う間隙も。流るる星霜いとどあはれに。
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