詩人:蒼月瑛 | [投票][編集] |
爆弾おちた。
あの広場に爆弾おちた。
あの水面に爆弾おちた。
みんな笑ってた旧市街に爆弾おちた。あの廃屋に爆弾おちた。悪路に横たわる君の死体に爆弾おちた。
つぎの爆心地はどこだ。
今も爆弾はおちている。
でも、一体だれが爆弾おとしてるんだろう?
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朝早く、駅で電車を一人待っていたんだ
「寒くなってきたな」なんてだれも聞いちゃいないのに独り言を呟いて、もちろん誰にも聞かせる気もなかったけどさ。
かじかんだ手で、携帯のボタンを押す。凍ったようなコスモス、タクシー運転手は欠伸をかいて寝てる。
世界はまるで絵画のように動かない。
ただ一つイヤフォンから漏れる叫び声が、安っぽい僕のセンチメンタルを揺らしている
こんな寂しい感情を、僕はだれかにわかってもらいたいのでしょうか?
共感なんて欲しかない、そう思っていると思っていたけど、結局僕は一人で生きてけないんだろうか。世間と共に死にたいんだろうか。
僕自身、世間によく頼ってきたもんな。貶し貶され、おあいこさ。
むしろ僕は感謝しなきゃいけないのかな。
世間知らずの意地っぱりが言う独りよがりの文句を受け止めてくれたんだ。
僕という小さな人間に対する劣等感。
自分を卑下にして楽しいか?
楽しかないけどこうすると楽になるんだ。
わかるだろ?自分に愛着があるから人は自分を卑下するんだ
誰だってそうだよ
ほら電車が来たからさ
そろそろ僕は行くんだ。足はすっかり冷たくなっちゃったけど、歩いてたらじき暖かくなるよ。
じゃあな、
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満員電車に埋もれる、反社会の自意識。
否定と肯定の曖昧な境界線上に立って、誰もが仮病を訴えている。そんな自己主張の声にかき消される命がある。こんな時代に生まれて僕は幸せですか。それでも人形みたいに笑ってればいいんですか。
永久に離別できない不安感。いい加減不安に押し潰されちまいそうだ。でも、ここ最近それが心地好いと思うようになっちっまったんだ。これは危険。僕らは間違ってしまったのかな。だからこの辛さも仕方ないのかもな。だってこれは仮病なんだもんな。わけわかんね。
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空跳ぶ天馬がいつか僕を迎えに来るよ。世界の果てに隠れた僕をさ。僕はそれまで何も疑ったりしない。疑うことなんて世界には何一つない。
僕は直視なんてしたことないのさ。
だからあなたの顔がうまく見えないんだ。あなたの顔を見たいとも思えない。だってあなたがいる世界はあの腐乱した世界なんだって誰が僕に告げるから。
生憎僕は翼を生やした君に興味はない。そんならいっそ、その翼をもいでやりたいくらいだよ。
準備はいい?
いくつか聞きたいことがある。
誰が僕の心を知りたがるって言うんだ。なぜ僕の体や心までも誰のものでもないと軽々しく言えるんだ。どうしたら誰も求めてない答えをその臭い口から欠伸するみたい言えるのさ。世界の中心はもちろん僕じゃないんだって知ってるけど、僕の中心にちらつく影は誰なんだい?気づいたら間違い探しみたいに人々を見てる僕がいる。
さあ告白の時間。
――。
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君が出口を盗んでしまった。
聞こえてる 聞こえてる
もうどんなさようならも嘘だね。
ただ一つの真実だって君が壊してる
愛した君が 怪物みたいに見えるよ
早く君を手なずけたいね
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握った両手が脈を打つ
遠方の見知らぬ誰がために
私は純粋人みたいに願った
私の力は銀河系の小さな星にも遠く及ばぬ微弱なもの
それで救えというならば
私は神にもなれるだろう
しかし、願うのは 命だ! 鼓動だ! 振動だ!
重ねた両手は脈を打つ
不思議な生命力をたぎらせて
願えばこの手に命が宿る
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僕は純粋だ。
どこまでも透き通っていて、穢れのない。まるで水晶のよう。
ああ、きれいだ。
ほら、見ろよ。
今でも目から涙を流せるんだぜ。びえんびえんとお布団の中で。
凍えるようにぶるぶる震えながら、泣いている。
自分より他人が大事。
嘘はみんなのためにつく。
まるで飴玉のように可愛らしく笑う。
僕は純粋できれいだ。
誰も、お父ちゃんもお母ちゃんも、みんな笑ってくれる。
泣きたいよ。もう。
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春雨の降る少し肌寒い今日
久しぶりに会った君は、より美しくなっていました。
懐かしいあの頃の思い出は、くすんでいってしまったけど
君が僕の思い出に鮮やかさを吹き込んでくれました。
今の君は昔と変わらず花のような人です。
君と思い出話をしているうちに、あの頃の思いが蘇ってくる気がしました。
久しぶりのこの感情に僕はちょっぴり嬉しくなりました。
まるで昔に戻ったかのようなそんな錯覚に。
僕はちょっとした遊びを思いつきました。
「実は僕、君のことが好きなんだ。」
そう言ったら君は、驚いた顔をして僕を見ます。
僕はわざと上を見て
「冗談だよ。今日は何の日かわかる?」
君もようやく分かったらしく、ニッコリと笑ってくれました。
そう今日はエイプリル・フール。
一年で唯一嘘が許される日。
そんな不思議な日の力も借りて、僕は昔の僕の思いを伝えました。
懐かしい思い出とそれを蘇らせた君に「ありがとう」と言いましょう。
もちろん、この気持ちに嘘はない。
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止まない雨がそこにはある。
明けない夜がそこにはある。
今日は妙に明るい夜だ。
蒼然たる月は、いつもより大きく見えた。
「綺麗な夜だ。」思わず口にしたくなる。
月の光は色のない、真っ白な部屋におぼしき幻影を作る。
その蒼さと言ったら、誰かがくれる菊の花とよく似合う。
うすらぼけた光と私が織りなす影が、鏡となって、私を舞台へと引きずり出した。
最初で最期の大舞台。
少しだけ緊張してきたのか、身震いがする。
たくさんの観客もいない。セットも少々盛大さに欠く。
それでも、この舞台は台本通りに進んでいく。
その正確さといったら、どんな精密機械ともひけをとらないだろう。
決められた道に沿って、照らされる舞台。
そうこうやって台本通りにゆっくりゆっくりフィナーレの時を迎えるのだ。
これまで数々の舞台を見てきた。
その中でもこの舞台は、短かくにも、非常に落ち着いたいい舞台だったろう。
そして、この舞台も、もうすぐ終わる。全て終わる。
客の静寂が涙となる時。
そうこの台詞とともに。
そして、その時がゆっくり2回ノックした。
私は大きく息を吸った。
止まない雨がここにはある。
明けない夜がここにはある。
私は静かに呼吸を止めた。