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浅羽の部屋


[18] 水の無いプール
詩人:浅羽 [投票][得票][編集]

水の無いプールの中で
君はただ笑っていた
笑顔だけ残したまま
君はただ消えていったんだ

雑踏の中で動けずに僕は
独りきり空に憎しみを投げた
行く先は無くて捨てられたままで
ゴミ箱の猫に助けてと叫ぶ

水の無いプールの中で
君はただ笑っていた
笑顔だけ残したまま
君はただ消えていった
誰一人気付かずに
街並みは変わっていく
光はもう見えなくて
何もかも失っていく

星空の下で幸せを歌う
子供達みたいになりたかっただけ
伸ばした手の先触れた物は皆
灰色に染まって崩れては消える

水の無いプールの中で
君はただ笑っていた
笑顔だけ残したまま
君はただ消えていった
音の無い世界の中で
僕はただ泣いていた
誰からも愛されず
朽ちていくと知っていたんだ

死産された可能性が見えて
誰も居ない船着場へ帰る
無色透明な夢は弾け
意味も無く降り注ぎ消えた

水の無いプールの中で
君はただ笑っていた
笑顔だけ残したまま
君はただ消えていった
何一つ掴めずに
終わる事を知っていた
だけど君は何も言わず
微笑んで去って行ったんだ

水の無いプールの中で
君はただ笑っていた
笑顔だけ残したまま
君はただ消えていったんだ

2013/09/20 (Fri)

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