明けない夜

言えない言葉

埋められない穴

描けない未来

幼い自分

買えない時間

消えない傷

崩せない意地

消せない記憶

越えられない境

触れない瘡蓋

知らないことの多さと

吸えない空気

切ない時の速さ

育たない想像力

足らない時間

違いない愚かさと

拙い言葉

出来ない笑顔

止まらない嘘

なれない良い子

逃げられない自分

抜け出せない自己嫌悪

眠れない真夜中

呑めない酒と

果たせない約束

響かない優しさ

踏み出せない一歩

減らない矛盾は

他ならない僕だ

待てない最期

見つからない明日

貪れない本能が

目覚めたくない朝

持てない自信と

止まない雨

許せない人類

余裕ない日々

楽じゃない生命体

理由のない自殺願望

ルールのない現実

例文なき遺書と

論理なき正論と

解らない本音の

ないないできない

連想ゲーム

□＋○＝良い子？

□＋。＝オタク？

□＋×＝不良？

□＋△＝落ちこぼれ？

□＝普通？

これであってるの？

伝わらなくて

当然だ

だって

何も僕は

伝えてはいないのだから

解らなくて

当然だ

あなたは

僕ではないし

僕は

あなたでは

ないのだから

浮かぶ孤独に

音を落として

束ねた空白に

色を落として

漂ってるだけなんだ

紙一重

なにもかもが

そうならば

一秒一秒

奇跡と言える

おはようが嫌い

行ってきますが嫌い

いただきますが嫌い

ごちそうさまが嫌い

おやすみが嫌い

返事がないのが

一番嫌い

何か書くことで

僕が何をするか

それは

紙に

限界を与えるだけ

ただ

それだけ

そして

ここにあった

紙一枚の価値を

なくすことだけ

僕は

戦争反対と

言えない

命の大切さも

悲しみも

辛さも

習ってきたけれど

僕は

戦争反対と

単純に言えない

今すぐに

戦場に行けと

言われても

怖じ気づくけれど

僕は

戦争反対と

素直に言えない

テレビに映る

戦いや

命懸けを

フィクションと

思わないけれど

僕は

戦争反対と

綺麗に言えない

爪痕を

歴史を

伝えていかなければならないと

思っているけれど

僕は

戦争反対と

正しく言えない

僕の生活の

僕の体の

戦争の利益を

戦争の発明を

僕は

捨てられないから

僕は言えない

戦争反対と

簡単に言えない

日本で僕が

テレビを見て

笑っているとき

北朝鮮の少女は

食べ物もなく

生き抜くのに

必死なとき

アメリカの青年は

いつ死ぬか

わからない

異国の戦場で

今日も銃を

握っているとき

中国の少女は

オリンピックに

向けて

市民マナーを

学んでいるとき

イランの少年は

命懸けの

生活の中で

どこに向かうのか

まっすぐに

見つめているとき

ツバルの少年は

温暖化のせいで

沈みいく祖国を

捨てようとしている

影というか

雰囲気なのか

匂いかな

たぶん体温

いろんな人が

地道に蒔いた

その種が

どんな形か

どんな色で

咲くのか

どんな匂いがするか

まだわからない

その種が

何を養分にして

育つのかを

まずは

知らなければ

育てられない

花の名は

平和

養分は

血と涙と硝煙の匂い

そして悲しみ