君の視線が

どこにあっても

関係ないんだ

君の体温が

微かに残る

言葉が

僕にとって

どれだけ

力があるのか

知っているなら

死にたいと

書いたら

生きたいと

読んでみて下さい

死の響きに
敏感な僕たちは
平気で
生きるために
スーパーまで
死を買いに行く


僕たちの
毎日のために
死体は
綺麗に並べられ
血生臭さを
感じさせず
パッケージの下の
死に化粧で
媚びてみせる


設定された
命の値段に
ありがとうを
無視して
高い、安いと
財布の中身と
にらめっこ


僕らは
君らを
２度３度と
殺すんだ


自分の罪悪感を
誤魔化すために
君らの死体を
切り刻み
煮込んで
茹でて
それが命だったことから
目を逸らして


どこかで
今日も
誰かが誰かを
殺したと
部屋を振るわし
お腹の音と
共鳴する


何が命か
考えた


何が違うか
考えた


答えが出る前に
僕の胃は
満足と
ゲップした

靴を揃えて

脱ぐのよと

言われて

初めて揃えた

金網の前

遺書と

書いてあるけれど

追伸と

読んでください

最後の言葉に

しては

相応しく

ないかもしれないけど

僕の

本当の気持ちです

みんなは

理由を

探すのでしょう？

理由なんて

ありません

誰かに

イジメられたとか

この年じゃ

ありませんよ

ただ

最初から

最期まで

生きるということが

僕には

わからなかったと

言うべきでしょう。

愛に包まれて

いたけれど

それがなんなのか

わからなかった

僕は

異邦人でした

どこにいても

寂しいを

通り越して

帰りたかった

この五月蝿い

心臓に

嫌気がさして

なぜ僕は

生きているのかに

思考は

直結して

しまうのです。

僕より

遙かに生きたいと

願っている人に

申し訳なくて

ああ何て

僕は役立たずなんだ

この小さな

金網さえ

よじ登る

根性さえないなんて

自殺志願者失格だ

弱虫で臆病で

そんな僕なのに

どうして

みんなは

愛してくれたの？

ありがとうが

言えません。

ごめんなさいとしか

言えません。

もう夕暮れです。

この季節では

まだまだ

靴下では冷たくて

僕はまた

心臓に負けたのです。

人間になるとき

それは
命が芽生えた瞬間
ではない


人間になるとき

それは
生まれた瞬間
ではない


人間になるとき

僕はまだ
その瞬間を
知らない

人の為に

なることを

しなさいと

教えられたので

僕は

偽善者に

なりました

仮面かぶって

みても

僕で

ネコかぶって

みても

僕で

顔変えても

指紋消しても

僕は僕で

逃げに逃げても

押し殺しても

自分は自分で

何から何まで

自分は自分で

どこにいっても

何をしても

何かには

なれなくて

僕は僕で

僕は僕で

僕は僕で

僕は

左利きの僕に

キスをした

僕らは
何も持たずに
生まれた


僕らは
何も考えずに
生まれた


僕らは
何にも知らず


僕らは
何にも
誤魔化さず


僕らに
何にも嘘はなく


僕らは
何にも争わず
生まれたんだ


その瞬間

僕らは
何も誇らず
何も恥じず
着飾らずに

裸でオギャーと
泣いたはず

蟻を潰した
あの頃と

今の僕は
変わらずに

ただ
期待された
場所に立ち

無理して
笑って
それだけなんだ


蟻がただ
権利を
主張してるだけ

僕がただ
実行に
移さないだけ

ただそれだけで

他には
何も変わっちゃ
いない

深夜二時
誰も彼も寝静まった
夜の帳

何も聞こえない
というのは嘘で

いつも
無音の音階に
包まれている

静寂に潜む
確かな音は

僕にしか
聞こえないのか

自然と澄んだ
鼓膜に響く

怒りと
悲しみと
寂しさが
煩くなる前に

仕方なく
忙しなく
親指を動かし

深夜三時
どこまでも
深く深く
僕を包む