今日初めて、一人で線香花火など してしまった。でも心では、彼の事を考えていた。子供の頃にみた、美しい夢のような光を眺めながら、ここに彼がいればな、と思った。小さな光に照らし出された横顔は、どんなに美しいだろう と。花火が終わり、象牙色の月だけが残った。不思議と、淋しくはなかった。彼の近くに、どれだけ近くにいけるだろう、と思った。
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