詩人:地獄椅子 | [投票][編集] |
照明のない低い舞台。
明らかにミスキャスティング。
捨て駒として扱われた大根役者。
醜い演技を隠すために照明がない。
脳内銀河の脚本は主役であるはずの自分が召使。
カボチャの馬車は来ないが、ガラスの心は割れた。
鏡に映ったナルシズム。
自分の自分による自分の為のダンスパーティー。
黒人霊歌のゴスペルじゃ上手く踊れない。
折角の一張羅も安っぽくみえる。
ほら吹き魔女の甘言を鵜呑みにしてアマンダの生き血やとかげの干物を口にしても、肝臓を悪くしただけ。
不幸の星の下。儚い舞台の上。
黒とか言ってみたり。
救われるような気がして。
藁を掴む思いは泡。
人生は一抹の夢。
嵐の前の静けさのように妙な胸騒ぎ。
これから起こる全てをまだ知らない幸福だけ。
蚤の心臓。勇気のない自分。
落としたバトンは何かの前兆か。
失楽園という名の舞台。
静物画の林檎のような頬をした娘が立って何かを伝えようとしている。
聞こえないよ。
娘の蝋燭の灯は静かに小さく揺れている。
こっちに来るな。
悔しくはないのか。
なぜそれを愛と信じるのか。
俯く処女は長い沈黙を破る。
『あなたがアダムというならばわたしは神をも恨まない』