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地獄椅子の部屋


[22] ネオブラックコーヒー
詩人:地獄椅子 [投票][編集]

春に埋まって窒息死。俺の心の暗黙知。誰も触れざる闇の主。淋しく濡れた目的地。

内的なペストの流行。病的なミストの氾濫。北方のケルトの神話。盲信的カルトの信仰。

理解を示されず一人舞台。視界に秘められし一人裸体。樹海に彷徨えば一人笑い。

ネクロマンサの儀式に酔って。ミクロ熱砂の意識に問うて。アクロバチックな形式の回転。

静的な造花。性的な謳歌。霊的な効果。


焼かれ焼き尽くされ、打ち砕かれた夢の欠片。
愚か者の掌で腐った世界の間抜けさを転がす。
ただ旅と名付けたかっただけなのだ。
本当は何もナイ。
何にもないってことが、何でもありってことなんじゃね?
なんてことはない。ただ希望を持ちたかっただけ。
無限の屍の上で安楽な営みを繰り返しながら。

年中無休の孤独。
涙と恨みのディスカウント。
コンビニエンスでインスタントな恋のバーゲンセール。
暇潰しでベッドイン。
甘酸っぱくほろ苦い、ネオブラックコーヒー。
煎りたての豆の原産地は、どこかからのイミテーション。
量産されるクローン。


それでもいい。
飲み込んでおくれ。
俺の弱さの全て。
抱えきれない闇。

その場凌ぎで抱き合って、終わった後に虚しさに襲われる。
誰でも良かったという強がりが独り歩きする。
チャラチャラと着飾って。
人混みの中で星を見る。

俺の心のネオブラックコーヒー。
嫌味一つ言わず、何食わぬ顔で飲み干しておくれ。
砂糖もミルクも混ぜないで。
「美味しかった」と言っとくれ。


春に埋まって窒息死。俺の心の暗黙知。誰も触れざる闇の主。淋しく濡れた目的地。

内的なペストの流行。病的なミストの氾濫。北方のケルトの神話。盲信的カルトの信仰。


神よ。
あんたがいる限り、我々に幸福は訪れないでしょう。
ほんまくだらんわ。

神よ。
俺らに似てるな。
あんたも結構、辛くて大変なんだろ?
そこに座って、これ飲めよ。

ネオブラックコーヒー。
あったまるぞ。

2006/01/09 (Mon)

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