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トケルネコの部屋


[201] 遼か幻陽の宴
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]

焔の夜
俺は夢を見る
看守達は鉄を焼いている
長い罪人の列が霧に埋もれ、口を窄めた赤子が側溝で死んでいる
無数の手が指先がマンホールから突き出、昨日の綾取りをしている
絲は今にも千切れそうな音を紡ぎ
赤い海瀟が孤島の影を攫い往く
そして、
頭蓋の奥では七色の蚓の輪が拡がる


明日は火の刻
言葉を持たない虫達が鳴く

明日は外の刻
顔を犯られた瀕死の処女が啼く

明日は無の刻
教会の鐘が遥か雪原に谺する


終わりは娘が拾う骨
始まりは気のふれた野犬の慟哭


明日は徒の刻
それでも胸の短剣は秘かに震える

流れる川
流れない棺
青い薔薇たちが湖面を覆い、星はもう零れてしまった…


焔の夜
俺は夢を見る

またヒグラシが誘うままに


2010/06/15 (Tue)

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