詩人:evans | [投票][得票][編集] |
それは
ぼくにとって
未知の世界だった
語学が不得意なだけに余計に
踏み込み難い空間だった
サブウェイ
危険で暗く汚い
そんな噂を聞いていた
そんな記事を眼にしていた
多様な人々を乗せながら
街のストリートアとベニューを
24時間つないだ歴史
世界経済の中心地
ミュージカルの中心地
芸術の殿堂
さまざまな街の表情とともに
時代を越えて走り続けた
サブウェイ
2010年
新年を迎えた極寒の街
カフェで朝食を終えて
不安と期待で階段を降りた
50ストリート駅
オレンジ色の電球に
照らされた薄暗い空間
鉄格子に囲まれた
無人の改札口が表れる
出口専用の
重い鉄の回転扉
僅かに蛍光灯に照らされ
ホーム向こう側には4本の
線路が広がっていた
ハーレム方面への
急行列車が通過してゆく
黒の服に身を包んだ
見慣れない黒人男性
2〜3人がホームに
路線図で赤色の線は
かなりの歴史と郷愁を
感じさせた
ローカル列車で3つ目
72ストリートで降りた
ぼくが好きなジャズ
スタンダードナンバー
「A列車で行こう」
のちに此処が舞台と知って
愛着が湧いてくる
オレンジとブルーの
光に照らされた軌道空間は
一つの芸術に感じられた
(2010.1.3)NYマンハッタンにて