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nの部屋  〜 投稿順表示 〜


[11] 七曲がり
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君と手をつなぎ歩いた桜並木

少し坂道

少し息の切れた君の手を引いて

君と初めて過ごすこの季節

少し暖かく

少し肌寒い

でも君と繋がってる手は

恥じらいと緊張で汗ばんでるよう

それを隠すようにベンチに腰掛ける

さっきコンビニで買ったおにぎりふたつ

違う中身をふたりで半分こ

一本のペットボトルを半分こ

また来年も一緒に来ようね

そう言った桜色の君の唇に見とれながら

僕は頬を桜色に染めながら

再来年もな。と答える

ずっとこんなふたりでいたい

そう願いながら

散りゆく桜をふたり眺めた。



2005/06/08 (Wed)

[12] 記念日
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昨日君と一緒に出掛けた

映画館に入った

でも君はちょっとつまらなそう

でも僕の手をずっと握ってた

その後散歩した

君は僕に手を握ってとせがむ

周りを気にしながら君の手を握った

ファーストフード店で少し休憩

僕はハンバーガー食べながら

横目で君の手を見つめながら心の奥で誓った

この小さく華奢な手を僕は一生離さない。
僕は一生守り抜く。と‥

2005/06/18 (Sat)

[13] ある朝の出来事
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行ってきます

行ってらっしゃい

僕には嬉しい日常の会話

そんな会話の数分後

僕は

受話器を耳に崩れ落ちる君の姿を

少し高い場所から見下ろしていた

それから暫くたって君は、せきを切った様に泣き出した



僕は君の右側に降り立ち

そっと君に声を掛けた

大丈夫だよ僕は此処に居るよ。
だから泣かないで。



2005/06/18 (Sat)

[14] 往路
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君は急いで家を飛び出し

強い陽射しの下

キラリと涙と汗を光らせ走った

その涙と汗は灼けたアスファルトに落ち空へと昇った

昇った涙と汗は君を少し高い場所から追っていた

僕の場所まで届いた

途中、見慣れた色の歪な鉄の塊が

君の涙腺を刺激して

君はその場に座りこんだ

僕は君の右側に降り

そっと君の肩を抱き髪を撫でながら声を掛けた。

大丈夫だよ僕は此処に居るよ。
だから泣かないで。

2005/06/18 (Sat)

[15] 白い布
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君は自動ドアが開く時間さえ待ちきれず

身体を捻りながら建物へと駆け込んだ

建物内の者に名を告げると

その者は少し君を気遣うように

左の方を指差した

君は建物内に足音を響かせながらまた走った

そして一つの扉の前に立ち止まると

大きくひとつ息吸って涙を拭った


僕は君にその扉を開けて欲しくなかった


でも僕の思いとはうらはらに

君はそっと扉を開けた

部屋の中には人が横になっていた

その人の顔には白い布が掛けられていた

君はそっとその白い布を自分の手に取った

そしてその人を揺り起こすように大声で泣き出した

僕は君の右側に降り立ったが

大丈夫だよとは言えず

泣きじゃくる君の前に横たわった



僕の亡骸を少し憎んだ。



2005/06/18 (Sat)

[16] 帰宅
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君は目を腫らして

僕の亡骸と家路に着いた

自宅に帰ってからも

僕の手を離そうとはせず

涙を流し続けた

そして泣き疲れた君は

僕の手を握ったまま眠りについた


僕は眠りについた君に語りかけた


急に旅立ってごめんね

まだまだ一緒に行きたい所もあったし
やりたい事もあった

本当にごめんね。

でもいつも近くで君を見守ってるからね。

おやすみなさい。



2005/06/18 (Sat)
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