詩人:どるとる | [投票][編集] |
小さな音も 耳をすませば 聴こえる
だけど聴こえないものにも人は擬音をつける 雪の降る音 空気のふるえる音
小さな微生物が 蠢く音
音のなりゆき 辿りながら 行き着いた場所は 一番好きなあなたの声
音の中に 音がある その音の中に 音がある
積み重なる音の流れ
私は聴く 音が出す音を 生きているんだねと想うだけ 想うだけ。
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春の指先が 見えるとき 小さな爪ほどの
桜の花びらが 舞いながら 踊る 道を行こう
陽射しの中に見つけた光 差し出す手のひらを すり抜けて 落ちた
閉じた瞼に よみがえる光 それはいつか見た記憶の景色
春の囁きが この耳に届いたら もう冬は終わり
きれいな色の 花がこの瞳を染め上げる
涙が頬に やがて 花びらに 変わり
戯れ画用紙に描いたような 春が ざわめき立つ。
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本に とりつかれた
人がいました
本の中で晩年を
迎えたらしい
夢に とりつかれた
人がいました
夢を見ながら
生きたいと
睡眠薬に溺れました
食べることに
とりつかれた
人がいました
食べ続けて
食べ続けて
最後は 胃を壊して
苦しみながら
果てました
人は誰も心の中に
病の巣を 抱いて
自分は人より正常と思い込み生きている
人の異常を指差して自分がどれほど正常かと 語る愚か者
正常なものなどない
ただ皆 それぞれの異常と正常を誰より
弁えたつもりで生きている。
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夜が息をしてる浅い眠りの中
葉は揺らして 森がざわめいてる
小さな命は 話すことを許されない
代わりに きれいな花を咲かす
身にまとった 息吹きを 吐き出すように呼吸している
闇を食べて生きる
光の中で 育つ
生み出したものを
甘い蜜に変えて
夜が息をしてる 浅い眠りの中
遠くの空に朝日が昇る
開いた瞳に 希望が差し込む
夜は光の中へ。
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まばたきのあいだにも人が死んでいる
まばたきのあいだにも人が生まれている
今日死んだ人 今日生まれた人
僕や君には けして関わらない人も
すれ違っただけの人も いつかは 迎えるその時を 抱えている
僕の明日も 君の明日も 必ずあるとは限らない
明日で尽きる命かもしれない それがどんなに悲しく残酷でも
呼び声の先にあるものを 追いかけながら ある種の答えのようなものを 僕も君も求めているのだろう
まばたきの間に一瞬遮られる 景色のさらに向こうに あるものが笑顔ならいいな
そう思えたとき 僕の命は 少しだけ 光を帯びる
あくびしてるあいだにも戦争は続き
あくびしてるあいだにも誰かが誰かを
殺めているのかもしれないよ
見たくない景色から 目をそらし
一体どれだけの 罪を許すだろう
涙を見送るだろう
僕の明日も 君の明日も 必ず晴れるとは限らない
明日降るのは 陽射しか雨か 僕は今見えている太陽に手を翳す
呼び声は ただ遠く僕らの始まりや終わりを 繰り返させるだけ 痛みをはらんだ 「生」を謳いながら
夜の長い長い 眠りは 少し恐いんだ 世界から どこまでも遠のいてしまいそうで
そんな不安の色に 染まった 瞳でも空はきれいに映る
スクリーンに映る 他愛ない日々を
絶え間なく 眺めているだけのような毎日
忙しさに 操られている 生きているのか死んでいるのかも
わからない 僕の歩みは覚束ない
呼び声の先にあるものを 追いかけながら ある種の答えのようなものを 僕も君も求めているのだろう
まばたきの間に一瞬遮られる 景色のさらに向こうに あるものが笑顔ならいいな
そう思えたとき 僕の命は 少しだけ 光を帯びる。
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僕らはただ耳をすます そして音をひろう
だけど形のないものを つかむのは
同じように形のない意識 どこまでも行ける
そこにある夜を そこにある朝を
見ないで見つめて
そこにある声を そこにある音色を
聴かないで聴こう
僕らはただ目を開いて そこにあるべきものを見つめる
認識するのは頭 或いは脳
そこにないものも そこにあるものも
すべて本当の世界
見えない景色や聴こえない音色を
心が伝えて届ける
ふれられない何かを ふれられるものに変えるのは何だろう
この瞳に映る世界すべてを覆うようによこたわる闇は どこにあるの
ここにあるのに どこにもないよ
きっと僕も君も同じようなもの 光の中から光は探せない
闇の中から闇は探せない
僕も僕の中から 僕を探せない
だから僕はここにいながらどこにもいない。
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誰かの声がする さよなら交わす声がする
僕も帰ろうかな 寄り道なんかしないで
なんでだろう 帰り道はいつも 切なさで胸がいっぱいになる
通りには 人もまばらで 道草してるランドセル背負った子供たちが歩いてる
電柱に とまっていたカラスも 巣へと帰ってく
さよならがしみてくる 誰もいない公園のブランコが風に揺れて 少しだけ動いた
昼間子供たちが遊んだ 砂場に置き去りにされた バケツとスコップ
何気ない場所に 残ってる幸せの灯りがつくった影
あなたの 今日は 楽しかったかな
おはよう言ったと思ったら日は暮れて
とっぷり 暮れて 夜になりました
闇の中じゃ 何も見えなくて 時々不安そうに猫が鳴くよ
僕の胸も ふるえてるのがわかるんだ 誰にでも等しく今日が楽しい訳じゃないから
涙で濡れた帰り道を歩いてる 人もいるだろう
さよならが押し寄せてくる 今日という小さな貝殻を 時の波が明日へとさらうよ
目を閉じても消えない記憶だけが 僕の頭の中映写機のように回り続けてる
何気ない場所に あるのだろう 幸せという灯りのような光
帰り道ふと立ち止まり見上げた空に星がひとつ流れた
僕には空が流す涙のように見えた
さよならがしみてくる 誰もいない公園のブランコが風に揺れて 少しだけ動いた
昼間子供たちが遊んだ 砂場に置き去りにされた バケツとスコップ
何気ない場所に 残ってる幸せの灯りがつくった影。
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深い深い 海の中に
いつか生まれた命よ
いつもいつも僕らの為にごくろうさん
笑い泣き時に誰かを憎み費やす日々に
おまえは いつでもただ深い海をただよう
目には見えない命よ
巨体をも凌ぐ命の力
地球を支えるは 神様ではなく
驕り高ぶる人でなく
おまえのような小さな命
僕は知っているのさ
みんな知っているのさ。
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これを芸術と呼ばずして なにを芸術と呼ぶの
星が 月が きらめいている 夜が 際だたせている
闇の中だからこそ光って見える
光の中では光は 見えない
そんな当たり前が まるで 変わらないのが
幸せだって 心が言うよ まさに夜は芸術。
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僕の胸が 寂しがるのは 夕日のせいだ
僕の胸が 思い出を必要するのは 夕日のせいだ
切なさに 燃やし尽くされて 焦げついた魂だけで今を立ってる
夕日のせいだ 夕日のせいだ 何もかも
あのさよならもあの過ちも 夕日のせいだ。