詩人:どるとる | [投票][編集] |
誰かが 死んでも
また 始まりに戻る
何かが 終わっても
また 始まりに戻る
巻き尺さ 世界は
巻き尺さ 時間は
さも何も
変わらないように
暮らしは続く
海の果てでも
宇宙の隅っこでも
巻き尺を戻せば
なくした命は
今ここに咲く。
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誰かの涙を 心の中の画用紙に描いたら
目を開けたままじゃ見えなかった
夥しい傷跡がそこに見えました
誰かの瞳を 丹念に見つめて 見つめたら
言葉などでは到底語ることのかなわない
痛々しい物語が 聴こえました
あなたのその傷跡に 手のひらを翳させて
せめて僕に出来ることは あなたの痛みを 感じたように わかったように
あなたの気持ちに心を重ねてみること
たったそれだけだから
あなたを抱きしめて
「もう大丈夫」って 言いたい気持ちは
容易く 崩れてしまう
その傷跡から流れる涙で
ふやけた心が 涙の海に沈んで 沈んでゆく
もう捜せない 手を伸ばしても届かない
下手な慰めなら なんの役にも立たない
あなたのその傷跡に 僕の傷跡を重ねて
僕もあなたと同じだって 伝えたいんだ
愛されていること 愛していること
あなたの心すべてを理解することは出来なくても
物言わない時計の音が ただ命を切り刻む
僕は少しずつ 少しずつ形をなくしてゆく
僕らが生きる世界は毛糸玉
綻びの先で 一本の道が出来る
今日と明日がつながっているように
あなたのその傷跡に 手のひらを翳させて
せめて僕に出来ることは あなたの痛みを 感じたように わかったように
あなたの気持ちに心を重ねてみること
たったそれだけだから
あなたのその傷跡に 僕の傷跡を重ねて
僕もあなたと同じだって 伝えたいんだ
愛されていること 愛していること
あなたの心すべてを理解することは出来なくても
あなたの傷跡さえも愛してみせるから 愛してみたいから。
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人いきれの夕暮れの街は 切なさの中
沈んだ眼差しで君は何を見つめてる
答えはどこにもないさ 自分の手で描くんだ 生き方も行き方も
半端なままの僕が描いた今日は 非道く 散らかっていて
お世辞にも美しいだなんて言えやしない
人混みの中に いても孤独を感じてる
こんな僕にも残されたものがあるのなら
お願いさ神様 このどう仕様もない
悲しさだけでも なんとかならないか
誰かが描いたような世界はただ
繰り返しを繰り返しながら進む
幸せはここにはないさ 自分の足で捜すんだ 僕もあなたも
欲張りな僕らが描いた世界は 汚く 荒んでいて
ただ自分の目先しか見えちゃいないよ
明かりの中にいても闇を抱いている
生きる痛みが僕を引き裂く度
生きる喜びが邪魔に思えてしまうよ
ああ どうして僕は生きているんだろう
夢を見た 人混みの中僕が立っていた
僕はただ降り続く雨に濡れていた
空を見上げれば いくつもの星が 希望のように輝いていた
人混みの中に いても孤独を感じてる
こんな僕にも残されたものがあるのなら
お願いさ神様 このどう仕様もない
悲しさだけでも なんとかならないか
太陽よ しぬことも出来ないけど
下手くそでも生きる僕らを照らしてくれないか。
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どんなに巧い 嘘でぼやかした 今日より
下手くそでも 中途半端でも
一生懸命 生きた今日にはかなわない
シミや汚れの一つ一つまで あなたの足跡だから
あなたの写した 今日の解像度は 流した涙や失敗の多さより
たった少しの成功や 笑顔が何倍にも美しく見える。
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ママは今日も あなたに優しいですか
パパはあなたを名前で呼んでくれますか
ママは あなたを抱きしめてくれますか
パパは誕生日を祝ってくれるでしょうか
当たり前なそんな一つ一つが何より
大切だってこと あなたはわかってるかい
あなたが笑えば ママやパパも笑ってくれる
あなたが泣いていれば どうしたのって心配してくれる
そんなパパやママが欲しいだなんて
サンタさんにお願いした君は それでもママやパパを愛しているんだね
親が思うより子供は親を裏切らないよ
不器用で浅はかなあなたが与えた痛みは
弱々しい笑顔とまっすぐな優しさで
あなたの目を見つめて あなたに今日も
愛してるって 大好きだって 言うのさ
愛してるって 大好きだって 言ってくれなくても
愛してるって 大好きだって 言えるのは
愛してるって 大好きだって 心から思っているからだよ
そんな心を あなたが裏切るなら
この世界はあなたには 見えないものばかりさ
子供は知ってる
あなたが知らないすべてを
あなたが見過ごすすべてを
だから 傷つけられても言えるんだ
愛してるって大好きだって。
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子供を抱きしめるのと
子供をたたくこと
同じ手で 違うことをすること
人は違っても意味は違っても
「親」と「子」であったなら
いつでもそこに心がなければね
「虐待」と「愛情」の狭間で 揺れている
これは後者か前者なのか そして誰が決めるのか
わからないから 手探りのまま僕らは子供と向き合う
例えばそこに複雑に 絡まり合う 片結びのような今があって
でも 心なくしてまであなたを 傷つけることは多分 愛なんかじゃないと思うから
あなたを傷つけてしまいそうな時は
「愛してるよ」ってぎゅっと抱きしめるんだ
大人として向き合う
親として向き合う
その違いは歴然で 子供にとっては
親も大人も大した違いはない
だけど「親」というだけで
あなたが子供にとってどれだけ尊いか
たたけば手に痛みが伝わって
あなたの手が 心に後悔という絵を描くでしょう
うまく出来てるんだ ちゃんと反省出来るよう
例えばふとした場面に 子供と目と目が合う瞬間があって
何気なく笑いかけて ただあなたが笑い返してくれる それだけでいい 心が救われるからね
親は子供を生んだときから親なんじゃなく
子供がただの大人を親と認めた時から親なんだって思う
例えばそこに複雑に 絡まり合う 片結びのような今があって
でも 心なくしてまであなたを 傷つけることは多分 愛なんかじゃないと思うから
あなたを傷つけてしまいそうな時は
「愛してるよ」ってぎゅっと抱きしめるんだ
「ありがとう」とか「おはよう」とかただそれだけで
伝わるもの 見えないものまで見える
「愛してる」なんてめったに言わないけど 心と心重ね合わせるように
いつも胸の中で何度も繰り返す アンサンブル
いつも胸の奥で何度も呼び合ってる アンサンブル。
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かがり火 燃えて
あなたの死を
悼んだ僕の今日は
何かを胸の奥に
残したんだ
鉛のように沈む
心は走馬灯のように駆けめぐらせる
君との記憶を
そんな顔で 笑わないでよ
思い出すほどに 君に会いたくなる
こんな僕を 許さないでよ
やさしい君の あの笑顔がまだ僕を照らしてる
押し寄せる 波は
あなたです
それはさざ波のよう
やさしく包んで
また遠ざかる
あなたの柔らかな腕が僕を包んで
離さない ぬくもりが僕に忘れてと笑う
そんな顔で 笑っていた
君がいた この場所に君がいた
こんな僕を 愛していた
僕は君を幸せに出来ていたかな ねえ
そんな顔で 笑わないでよ
思い出すほどに 君に会いたくなる
こんな僕を 許さないでよ
やさしい君の あの笑顔がまだ僕を照らしてる
浮かぶ船の上
時の河 水面に映る
あなたの笑顔が
すべてを 語る
淡いヒストリー
そんな顔で 笑っていた
君がいた この場所に君がいた
こんな僕を 愛していた
僕は君を幸せに出来ていたかな。
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部屋の中を 満たす時間が
一つ一つ消えてゆく
失っては手にしてゆくように
僕のこのか細い五指をすり抜けてく
こぼれていくように 落ちてゆく
砂のような 命の欠片
削れていくように
奪われていく
体中をまとう熱 体温
目を伏せて 呟いたさよならには 誰にも
触れられない
だから、あなたを愛した日々を忘れたふりをする
夕暮れの赤い色が染めたのは
君の頬と街並みだ
河の流れに逆らうように生きる
有り体の片隅灯る
流れてゆくように
流されてゆく
刻み込んだ記憶の断片
消し去るみたいに薄らいでしまう
あなたと交わした数千の口づけ
どうにも出来ない 誰にも変えられない
さだめは 君を包んで
しっかりとつながれた手を そっと切り離させるよ
こぼれていくように 落ちてゆく
砂のような 命の欠片
削れていくように
奪われていく
体中をまとう熱 体温
目を伏せて 呟いたさよならには 誰にも
触れられない
だから、あなたを愛した日々を忘れたふりをする
僕は あなたに愛された日々を壊せない
ああ、あなたのいない明日の世界を歩くよ。
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僕は嘘をついていた
自分にもあなたにも
他の大切な人にも
僕は嘘で守っていた
そう思いこんでいた
それも嘘だった
嘘で出来た見えない
服を着ても
悲しみを避けて歩くことは出来ないね
嘘に嘘が重なって
嘘が嘘を呼んで
その嘘がまた
嘘と重なって
僕は嘘に埋もれる
僕は嘘に埋もれる
僕は嘘をついている
世界にも街並みにも
花や草木にも
平静を装っている
そう思わせたくって
無防備だった
それさえも気づかず
それさえも気づかず
傷だらけになって
やっと気づいた
嘘に嘘が重なれば
嘘が嘘に早変わり
その嘘がほら
嘘に染まってく
僕は嘘に染まってく
僕は嘘に染まってく
僕は本当のことが
言えなくなる
僕は嘘をついている
僕は嘘をついていた
明日からの僕は
嘘で笑おうか
嘘で泣こうか
それはイヤだな
だから嘘の中に
そっと愛をしのばせる
そっと心をしのばせる
嘘に嘘が重なって
嘘が嘘を呼んで
その嘘がまた
嘘と重なって
僕は嘘に埋もれる
僕は嘘に埋もれる
嘘に嘘が重なれば
嘘が嘘に早変わり
その嘘がほら
嘘に染まってく
僕は嘘に染まってく
僕は嘘に染まってく
僕は本当のことを
言ってしまうよ
傷つけるかもしれない
それでも、嘘よりも大事な本当を言うよ
愛してる 愛してる。