詩人:どるとる | [投票][編集] |
夏の影が揺れている
遠く幼いあの夏が
花火の音とお囃子の音と風鈴の音でよみがえる
陽射しの強い夏の重だるい日々
硝子細工に透かして
見える思い出がまだ真新しく見えるよ
夏の影が揺れている
夢から覚めるように
短い春は終わり
やがて来る 夏を待ち半袖半ズボン 押入から出す
夏の景色に溶け込む
少年は 線香花火のはかなさにはっとする
名残惜しさは不思議な余韻を残して
夏の遠ざかる影に目を奪われ
汗のようなしょっぱい涙が水分を奪う
麦茶 飲み干せば
引いてゆく暑さが
夏の終わりをつれてくる
あっという間さ
何もかも
だからこそ
尊いのさ
かすかに揺れる影が
また 揺れるのかな
今年もまたみんなで庭で花火するのかな
あの時みたいに子供みたいにはしゃぐ僕は見つけられるかな
まだ来ぬ夏の忍び寄る影を待っている僕は少しずつ暑さ増す日々に目を凝らし耳すまし心おだやかにして
やがて澄み渡る青空とセミの呼び声で夏を知る。