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どるとるの部屋


[4600] 夜を望遠鏡で覗いたら
詩人:どるとる [投票][編集]


そこから覗く世界は
全ての思想を裏返す
夜を包み込む光
瞬いて 煌めいて
あなたの瞳に届く

明日は雨でも
晴れだろうと
誰かの死が免れぬなら
何も望むことはない

鏡に映したような
世界が向かい合わせで明日を映す
僕の邪悪とあなたの純粋 足して2で割りやっと生まれる
誉れ高き心

夜を望遠鏡で覗いたら 何がそこに見えるかな
人の悪意も善意も全て混ざりあい 融けあって ひとつの光になればいい

夜を望遠鏡で覗いたよ 君の笑顔が見えたんだ
人の笑顔と涙は重なり合うようで ひとつになることはけっしてない

遠い声 遠い街 生まれる朝が 卵から孵った雛鳥のように
まだ目もあかないうちに 僕ら急かすように…

そこに描く 明日は
もうあなたの存在を認めないけれど
確かなものがあるとすれば それはあなたがいたという記憶を知る僕がいることだ

夜を望遠鏡で覗いたら 何がそこに見えるかな
人の悪意も善意も全て混ざりあい 融けあって ひとつの光になればいい

夜を望遠鏡で覗いたよ 君の笑顔が見えたんだ
人の笑顔と涙は重なり合うようで ひとつになることはけっしてない

夜が望遠鏡に映るけど 光と闇が区別できない
見えるものと見えない何か 光を放ちながらただ朝をめざす

時計が もとに戻って 散らかった部屋の中もいくらか片付く

泥だらけスニーカー
履きつぶして
見慣れた景色の中へ僕は 紛れる

昨日の寂しさも 癒えないままの傷跡も
夜の中へ 夜の中へ
置き去りのままさ

そこから覗く世界は
全ての常識を裏切る

そこから覗く世界は
全ての思想を裏返す

そしてまた夜を望遠鏡で覗いたら。

2013/01/03 (Thu)

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