詩人:どるとる | [投票][編集] |
扉を開いて 生まれる今日に
まぶたをひらいて 射す光に
僕は昨日と今日を知ったように 明日をそこに見る
不安や憎しみ 悲しみに喜び
事あるごとにすれ違う 様々な場面
星のひとつに自分を重ね 僅かな希望を託す
何かを得るたび 何かを失って
そのたび気づく もう戻らないもの
願ってもかえらないものがあることを
すべては時の彼方
明日の消息はだれも知らない
景色を染めて はじまるストーリー
口をひらいて 発すあいさつに
誰かが昨日と同じように 言葉を返してくれるのを待つ
憤りや焦り 妬みに僻み
事あるごとに抱きしめる 様々な感情
雨粒に自分を重ね 心静かに目を閉じる
今日が明日に 明日が今日に
そうして生きる もう触れられぬもの
祈っても 届かない声 まるで一人キャッチボール
すべては夢まぼろし
私の消息は誰も知らない
僕はいつか 黙ったままでも 影さえ残さず消えるだろう
だからさよならなんて言葉は言わないけれど 何かひとつでも残せるなら 形あるものじゃなく
心に残るような 見えないものを残したい
例えば 過ぎていくだけの今日に
例えば 枯れていくだけの花に
例えば 廃れていくだけの街の片隅に
僕の存在の名残が 少しのあいだ さよならのだいぶあとにでも
消えないよう 願う。