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どるとるの部屋


[6092] 最後の観覧車
詩人:どるとる [投票][編集]


瞼閉じれば思い出せる あの日の場面
お父さんが最後だって連れて行ってくれた
遊園地の観覧車 静かに回っていた
お父さんは離れたくないって泣いてた
けれどお母さんはもうお父さんとはいられないって言うの

帰り際手を振るお父さんは言ったよ
「おまえはいつまでも僕の愛する子供だから」
そう言うお父さんは涙を必死に堪えてた

言葉にできない気持ちは無理やり言葉にしなくていいよ
お父さんの口癖は優しさにあふれてた
お父さん どうしていなくなっちゃうの
お父さんは 僕を抱きしめながら泣いてた

世界でただひとりの僕のお父さん 行かないで
あの観覧車がいつまでも終わらなければいいのに
そう思ったけどすぐに観覧車は地上に着いてしまう

「もう会えないんだ」
お父さんは僕に言ったよ
理由は聞けなかったよ
あまりにもお父さんが 寂しそうな目をしていたから
最後の観覧車 今も僕の中であの日のお父さんの涙が 色あせず残ってる

帰り際手を振るお父さんは言ったよ
「おまえはいつまでも僕の愛する子供だから」
そう言うお父さんは涙を必死に堪えてた

世界でただひとりの僕のお父さん 行かないで
あの観覧車がいつまでも終わらなければいいのに
そう思ったけどすぐに観覧車は地上に着いてしまう

今、僕の中に残っているのは
あの日のお父さんの背中とかすかな煙草の匂い
そして優しいぬくもり
それだけ。

2015/02/21 (Sat)

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