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どるとるの部屋


[6360] おもかげの花
詩人:どるとる [投票][編集]


たとえばきれいな花に重ねている
いつか なくした誰かのおもかげを
その透き通るような瞳に空を映してる
愛しさだけでは 優しさだけでは
この世界で生きるにはあまりに難儀だ
さぞかし窮屈で息苦しいだろう

今日誰かを憎んだなら
明日はかわりに誰かを愛そう
今日誰かを傷つけたなら
明日はかわりに誰かを助けよう

ふいに浮かんでは消えていく
誰かのかすかなぬくもりのかけら
僕のこの手のひらの中に咲いた
覚えているだけのイメージが描いてる
おもかげという花

目をつむると見えないものさえ見えない
寂しささえ不思議と消えている
昨日降った雨が残したあしあと
水たまりに 映るあなたの笑顔
そしてどうしようもなく降る涙
生きる痛みはまっすぐに突き刺さる

誰かを傷つけるくらいなら傷つきたい
誰かを憎むくらいなら憎まれたい
いつだって光と影のせめぎ合いの中で
嘘と本音が入り混じって僕を試す

悲しみが そっと世界を濡らすときは
静かに目を伏せてまどろみに沈む
繰り返される 絶え間ない日々の片隅に
ほんのかすかな悲しみがあるだけで
幸せの存在を疑う

閉じたまぶたの向こうで 降り続く雨
なんでもない映画のワンシーンのように
人目にも触れずただ 流れていく時間

ふいに浮かんでは消えていく
誰かのかすかなぬくもりのかけら
僕のこの手のひらの中に咲いた
覚えているだけのイメージが描いてる
おもかげという花
誰の思い出の中にも咲いている
おもかげという花。

2015/06/29 (Mon)

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