詩人:どるとる | [投票][編集] |
ここはとある国。名をクリーンランドという。
クリーンランドにはきれいな人間しか暮らせない。
人を憎まない。人を傷つけないことは勿論、争いの引き金になるような思想の持ち主はこの国では死刑の対象になり大人子供に関わらず罰せられる。
一年に一度(清浄測定診断)がある。
測定器のメーターが一定の数値以上を越えると死刑が確定する。
ある女と黄色いタグをぶら下げた男が測定器の前に並ばされる。
黄色いタグはギリギリのラインにいるいわば危険な要因を持った者につけられる。
女と男が交互に診断される。
測定器は機械的な音声で言った
「右の女はアウト」
「左の男はセーフ」
アウトと診断された女は逆上し、なぜだと言うと測定器はまた機械的な音声で答える。
「あな…たは確かに清らかな心の持ち主だ。まるで絵に描いたような。教会に毎日足しげく通い身なりもきちんとし、処女を守りも健全な数値を示している。だが、心が汚れている。どんなにきれいな自分を装おってもそれは仮面で隠したあなたの素顔ではない。よって偽りのクリーンさは十分死刑に値する」
それを聞いた女は泣き崩れた。男はそんな女にこう言った。
「あんたは可哀想だ。俺みたいな穀潰しは死刑になってもいいが、あんたみたいなきれいな人は死刑になったら可哀想だ」
それを聞いた女はポロポロと涙を流し心の底から反省した。
そして測定器は女に近づくと青いタグを渡した。
「今ならあなたは生まれ変われる。自分の犯した行いに反省できる人間は清浄だ」
タグを受け取った女はありがとうという言葉を何度も何度も繰り返し呟きその場に泣き崩れた。