詩人:どるとる | [投票][編集] |
まばたきのほんの数秒さえも
惜しくなるのはなぜだろう
あなたのその笑った顔を
この瞳に焼きつけたいんだ
ストロボを焚いて シャッター切って
形にできない思い出の場面を
並木道の木々が 寒そうに見えた日は
裸ん坊の桜が風にふるえていた
持ちうる優しさを持ち寄ってあなたのすべてを愛そう
この手にふれられるものは
以外に多くなくて 目に見えないものにはふれることさえできない
だから 目を閉じて暗闇に描く光に
語りかけるように 重ねていく思い出を
忘れないように 手放すことのないように
心の中に 宝物みたいにしまうんだよ
まばたきのあとに 閉ざされる世界が
眠りに落ちる間際のようで
少しだけ寂しくなる でも穏やかな気持ち
恐くはない 大丈夫平気だ
部屋の中に 広がる言葉にならない
切なさが 夜が明けてもそこにある
押し寄せる孤独を なだめながら 暮らす日々に
降りだした雨に 濡れてしまうと容易く 涙がはみ出す
まばたきひとつで 世界は僕の瞳から
跡形もなく消えて どんな光も 照らせない暗闇が広がる
雨音や風の音を とらえた耳が 誰かの声を 抱きしめて
心が折れそうなときは
倒れそうになるのを抱き上げてくれる
心の中にはいつの間にかたくさんの思い出が
この前映画を観たよ 人生を振り返るような
暗い内容だったけど案外面白かった
代わり映えのない毎日も少しの 喜びで
幸せそうに主人公は笑ってた
だから僕も
この手にふれられるものは
以外に多くなくて 目に見えないものにはふれることさえできない
だから 目を閉じて暗闇に描く光に
語りかけるように 重ねていく思い出を
忘れないように 手放すことのないように
心の中に 宝物みたいにしまうんだよ。