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どるとるの部屋


[7612] 夜のニュース
詩人:どるとる [投票][編集]


カクテルこぼしたような
薄紫色の空が 電車の窓から覗いてる

移り変わる景色はまるで映画を観ているみたいだ

スカイツリーの影に隠れてすっかり
存在を忘れられた東京タワーも夜になるときれいなもんだなあ

いくつもの言葉を 僕は手がかりにして
この悲しみのスパイラルから 抜け出す算段をしている

思い出したように 走り出す野良猫は
この街を 僕なんかより知り尽くしている

誰かの涙を そっと何も言わずに眺めては
また違う誰かの夜を覗きにゆくのさ

羽があったなら飛び回りたいよ
見過ごすにはあまりにも素敵な出来事がこの街を 賑やかにしている

しかめっ面 仏頂面 アホ面 表情豊かな君の顔

まだ知らないこの街の噂が僕を待っている気がする

当たり障りのない会話を続けながら
誰かが何か失敗をやらかさないかなと
今か今かとその機会を伺う

泣きながら 笑いながら 怒りながら 照れながら
過ぎてく夜を 遠く見送っている

夜のてっぺんでこの街を見下ろして
誰かの涙をさらってく泥棒になりたい

騒ぎ立てるほどニュースは何もないや
残された嘘と言えないままの愛してる

夢から覚めたら 夜が明けたなら 君にこの気持ちを 間違いなく届けたいよ
そんなことを企んでいるんだ

どこかで僕の帰りを首を長くして待っている
僕が君に 届けたいのは 貸し借りできない心です
どうか受け取ってくれないか?

思い出したように 走り出す野良猫は
この街を 僕なんかより知り尽くしている

誰かの涙を そっと何も言わずに眺めては
また違う誰かの夜を覗きにゆくのさ

羽があったなら飛び回りたいよ
見過ごすにはあまりにも素敵な出来事がこの街を 賑やかにしている
この夜を きらめかせている。

2016/04/09 (Sat)

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