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どるとるの部屋


[8033] 逃避行
詩人:どるとる [投票][編集]


眠れない夜をどんなふうに君は過ごしてるの?
窓の向こうに広がる空に 君の顔を浮かべてる
珈琲のカフェインが回った頭で考える君のこと

笑いながら 泣きながら 近づく夜明けを
なんとなく待つように 遠ざけるように
不安と期待の入り交じる気持ちでいるよ

今だけはどんな言葉でも 慰められない
慰められたくもないから 放っておいて

始発電車の時刻確かめて 一番早い電車に乗って 世界の果てまで君を連れて逃避行

来るべきその時にそなえて 準備は怠りないよ
どんなことが起きてもいいように 期待なんてしない
疑ったり 信じたりするのももう疲れたから

まだ薄暗い線路脇の金網の向こうのホーム
電車が ブレーキを踏んで停まる
いつもの座席に 迷わず僕は座る

下手くそな口笛に名前をつけて歌にする
ささやかな君への僕からのプレゼント

時々立ち止まったり進んだり 落ち着かない旅だ 悪いね希望しか今は見えない

近づく夜明け 羽を広げて一羽の鳥が羽ばたいたのを
見逃さなかった
君もまた遠い旅に出るんだね
僕もなんだよ 奇遇だね

今だけはどんな言葉でも 慰められない
慰められたくもないから 放っておいて

始発電車の時刻確かめて 一番早い電車に乗って 世界の果てまで君を連れて逃避行。

2016/07/09 (Sat)

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