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どるとるの部屋


[892] カメレオン
詩人:どるとる [投票][編集]


パズルのように組み上がる僕のありふれた生活
だけれどどこかが窮屈で噛み合わない歯車のように 潤滑油 注いでみても動きゃしない

返事やら敬語やら嫌なこと 言うときには出ない声もパスって後回しにしたりやめたりするときに出す声だけは高らかに響く

ああ、世界は広いな
だけれどその分だけ切なさはところ狭しと

涙で滲んだ 僕の心の中の日記帳
思わず イメージしてしまった 不安がそのまま文字になる
なぜ、僕は生きてるのだろう?

その場の景色や空気に合わせて からだの色を変えるカメレオンみたいに 僕も周りの状況や空気を読んでしまって やりたくもないのに 愛想など振りまいてしまう
それは半ば 誘発的に引き起こされた結果のようでもある

しきりに 目を泳がす
後ろめたいことだらけさ
誰かにたずねられる前に白状しておこう

僕はカメレオン まるでカメレオン
カレンダーみたいに
日々、色を変えて
その場しのぎの愛想とお世辞で 乗り切ろうとする だめな現代人

そのうち暴発するかな

いつも思うことは
早く家に帰りたい
切ないくらいそれだけだ 願いは叶うけれど
今日もただそれだけを考えて 涙 押し殺す

目をくるくる動かしては周りの空気をハエのようにその長い舌のかわりに見えないアンテナで 素早く察知して 愛想の準備をする お世辞を振りまく

さながら 僕はカメレオン 緑色した立派なからだの色をわざわざ汚してまでほかの色に染まろうとする
いや染まるしかない
悲しいカメレオンさ

その 泳ぎっぱなしの目にも涙が光る
それは 誰にも見せないから見えないだけだ

ほら物陰で今日も悲しみがその姿を露わにする

遠くには沈む夕陽
なんとも 儚げな景色
涙は 余計な力が加わり さらに激しく降った
かれきった声をともなって。

2010/01/14 (Thu)

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