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壬治の部屋


[193] 力学
詩人:壬治 [投票][編集]

心は素直に
ときどきとても素直に
重力に従ってしまう

深く沈み込んで
あれからのことを
全部忘れて
都合のいい恋だけをして

生き急いでも怠けていても
同じだけの月日が
ここに流れている

振り返ったときには
何一つ覚えちゃないとしてもね

時間は進む
世界は変わる
歳を取っていく

相応しく経年劣化する

そういう気分には
なれないままで
長い人生が過ぎさって

放り投げてみるも
対岸に人の影はなく
無様な自分に泣けた

後戻りするには到底足りない
どれだけの金を積んでも
その景色は描けない

心底思うよ
心なんて一瞬で殺せる
人なんて簡単に死ぬ

千切れ千切れの
青春の残像
ここまで壊せばもう怖くない

取っておきはまだまだ
留めておくのだ
やるとき決めれば
それでいいんだと

自分を慰めて今を浪費した

心底思うよ
愛なんて一瞬で燃える
燃えて燃え尽きて
いずれは消える

2016/01/18 (Mon)

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