詩人:タンバリン | [投票][編集] |
世界中の人と話せたらいいな、なんて
いいかげん慣れてきた英会話教室
クラスもCに上がって、もう一ヶ月だ
今はもう馴染んだけれど
ここにはいろんな人が来る
会社員、高校生、老人
ん?
変なのがいる。
明らかに変なのがいる。
まずパンくってる。何枚も持ってる。
さらにコーラ持ってる。授業なのにコーラ持ってる。
『ねぇ。マーガリン、ちょうだい』
日本語で来たか。
でも僕は冷静だ。もちろん英語で断った。
そのあと、
彼はコーラをこぼした
(もういい。俺には関係ない。)
そして
いきなり会社員が彼を殴った
高校生は面白がって加わった
老人は必死に彼らをたしなめた
俺はただ、それを見ていた。
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小便こぞう、みなさんが知っている
アレです。
彼らは、生涯小便を出し続けます
それは、半永久的に
で、
小便にいさんです。
この生き物は、ある時期がくると
やはり、小便を出しつづける、
そして、水分がなくなって死にます。
北パプリカ半島の小さな町で、
彼らがよく死んでいる訳です。
小便にいさんは夢をみます
何か、大きな夢を
小便にいさんは分かっているのです
自分の人生に限りがあることを
それは少年時代
あるいは彼の全て
青春時代
小便にいさんは、分かっているのです。
自分が大人になってしまうこと、
それは近いうちにくることを・・・。
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(はい、もしもし)
…キリンさんが好きです
でも、ゾウさんの方がもっと――
でも、一万円札の方がもっと――
でも、百人の恋人の方がもっと――
でも、地位と名声の方がもっと――
でも、アスファルトに咲くタンポポも好きです。
…よし、じゃあタンポポのくだりだけ言っておこうか。
嫌われないように。
…とっちゃおうかな。
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季節もしんしんと冬に変わって、
中高生が焼きいも屋に喜んで走っていきます。
貧乏な僕は、それを見ていてくやしいのです。
だから、ボールペンや消しゴムを
アルミホイルで包んで焼いては、
腹いせに隣のじじいの畑にまいていたのですが
そのせいでじじいが引っ越して
寂しがりやの僕は、それを見ていてくやしいのです。
だから、近所の子供や向かいの犬を
アルミホイルで包もうと・・・
でも、その途中で青い服を着た人達が来たから
僕は安心して、両手を差し出したんです。
本当に、本当に心細かったから。
これでいいんだって、思ったんです。
―きちきちとアルミホイル。
まるで冷たい金属ロール。
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二階の右から四番目、一つだけ色が違ってる
ペンキ塗りたて水色ドアに、ノック3回
ドアが開いたら、振り向きざまにラリアット。ふざけ笑いで。
それが僕達の合図
一人には広めの2DK、偏った家財道具たち
二度煎れの苦いコーヒー
いれたら流しにぶちまけるのが
僕達の決まり
また、彼女はあの掛け時計を
12時間と5分ずれているって言い張る
僕は、そうだね。って、うなずく
ボロのベッドに裸電球
ひねって消したら
始まりの合図
僕は思う。
倒錯的な出来事に溺れるように、
現実世界は海の底へと舵をとってる
だからいつか、きっといつか
僕たちはまともだって、言ってもらえる日々がくる。
くるんだ。
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自分ひとり、殺せるカクゴで
そんな多大な、存外なカクゴで
イクイクイクイクイクイクイクイク
イイカイ。君の
心をクリック
ドラッグしたら
クルクルクルクルクルクルクルクル
あぁ、少し酔い気味のサバシティカル
5分置いて。
試合を始める
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ところでチャッピー
用事は済んだかい?
チャッピー、
君の飼い主は本当に―
ところでチャッピー
人間は好きかい?
やっぱり好きか
じゃなきゃ右手を噛んだりしないね
ところでチャッピー
鎖がないと、やっぱり駄目かい?
そうか、チャッピー
鎖があるから安心で
無いと不安で走れない
なぁチャッピー
少しずつ、やってみようよ
右手を噛む程に苦しんでいるんなら
一緒に旅に出よう
毎日違うえさ食べよう
原っぱで遊ぼう
コンビーフだって、たくさん買っておいたんだ
ちぎり残った鉄の鎖が
いつか溶けてなくなるように
一緒に行こう、チャッピー
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なんてったって、
俺の車は四駆
こないだシャーシを軽くしたよ
本気だしたら結構速いぜ
ミニ四駆だけど
そういや公園でね、
鳥がさぁ、こう、すごく翔んでて
その中の白いやつ。
あれ、なんか良いよな。
俺、追いかけたよ、2キロくらいかな、
そしたら学生にぶつかってさ、このザマなんだ。はは。
やっぱ俺って、もう・・・。
いや、なんでもないよ、はは。
―いつも一人のクルーマン
暖かかった日々を思い出した
去年のクリスマスも、おととしのクリスマスも
クルーマンはお願いしてた
どうか、ほんの少しの愛を。
また、クリスマスが来るんだね。はは・・・
いつも一人のクルーマン
涙が、出てきた
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リモコンがない。
そうか、
リモコンの国に帰ったのか
そんなお前にも
帰るところがあるんだな
エアコンつかないけど
年明けまで待つよ
俺にも?
どうかな‥‥
行ってきなよ
何も気にせずに
楽しんでおいで
片付けなくちゃね
この一年を
片付けなくちゃね
七色の泥団子
羽のはえたクマも
鏡餅、送ろうか
本物のミカン
上に乗せて
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君と僕がいれば
あと、『ごはんですよ』があれば何もいらない。
なんてね、ちょっとクサイかな?
いや、『ごはんですよ』の臭いの方じゃなくて。
馬鹿にしないできいておくれよ
みんな、一人一人の言い方があって
これが、僕の言い方。
そうだよ
生き方ぐらい、僕たちの自由なんだ。
固まらずに、一緒に行こうよ
嫌でなかったらさ、
生き方ぐらい、僕たちの自由なんだ。