詩人:花 | [投票][編集] |
モルヒネで
少し おしゃべりになって
黄疸がきつく
動かなくなった身体を
無理矢理起こして
私の前だからと
自力の排泄を乞う
「情けなくなった」
と
時折涙しながら
急に目を瞑ってしまったり
正気と幻覚の間を行ったり来たり
泣くまいか…
と 伯母の顔を見て
無理矢理微笑んだ
強く強く笑ったんだ
悲しみを吹き飛ばすように笑ったんだ
兄と慕う
伯父の息子が
私の頭を優しく撫でる
笑顔の裏側の
涙を拭いてくれた
年を経
老いゆく姿と
病気に蝕まれ
薬に侵食される
命の灯火
儚く 頼りなく
消してはならぬと
寄り添う人々の
温かい手が
まだ あなたの 命を
守っているのだと
繋いでいるのだと
浮腫んだ手を摩りながら
小さかった あの日を思い出した
悲しみを隠すように
みんな笑ってた
泣くまいか
覚悟なんか出来やしない
泣くまいか
せめて伯父の前では
みんな笑う
みんな笑う
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いつか二人を呼んだげる
だから
今はごめんね
淋しい思いをさせてしまうよ
いつか二人を思いっきり抱き締めてあげる
いっぱいの愛情をあげる
だから
待ってて
もう淋しい思いはさせないから
二人一緒に
私の下に産まれてきなさい
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目の前にうすく霧がかかっている
オブラートに包んだ言葉たちは
最後まで届かない
儚く消え入りそうな灯に
両手をかざして
「お願い 誰も 邪魔をしないで。この灯を消そうとしないで」
価値観が違うなんて言わないで
違う場所で生まれたの
違う時間を過ごしてきたの
違う人たちと出会い 違う思いを抱き
違う喜びをかみ締め 違う涙を流してきたの
同じであるはずがなく
同じであるわけがない
私たちの出会いは
神様の悪戯だったのか
神様の導きだったのか
事実に後悔と感謝が入り混じり
時々とても苦しくなる
他人をこんなに疑ったのも初めてで
他人をこんなに信じたいと思ったのも初めてで
目に映った光景に
耳に聴こえるその言葉に
一喜一憂しては涙を流した
近くにいれば傷つき
放してみても楽にはならない
必要としているのに
必要とされているのに
見えているのか見えていないのか
強くなろうとすればするほど
ぬかるんだ地面が
飲み込もうと
口をあけて待っている
私の自信を根こそぎ飲み込もうと待っている
静かに好きになりたい
静かに好きになってほしい
強く愛していきたい
強く愛して欲しい
見返りと言われてもかまわない
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例えば私は
誰にも言えないような
恥ずかしいことをしたのだろうか
例えば私は
誰かを傷つけるような悪意に満ちた行為をしたのだろうか
例えば私は
誰かの気持ちを裏切りのうのうと笑っていたりしたのだろうか
否 していない
優しい時間が増えていく
もう大丈夫
立ち上がれる
笑える
外にでて
お気に入りを愛でて
栄養を注いで
今は
ただ
私を受け止めてくれた
あなたたちに
感謝してる
家族だと言ってくれた
あなたに感謝してる
靴を履き替えて
昨日までの足跡とは
違う道を歩く
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雨が降ってます
春先の雨は冷たいのですね
いつ止むのでしょうか
雨雲は分厚くなるばかりです
思い出しておりました
あなたと過ごした2年の月日を
思い出しておりました
小指と小指の約束を
決して平淡な日々ではありませんでしたが
あなたから頂いた愛は
私から私の大切へ
惜しみ無く受け渡しをいたしました
人と人との出逢いの素晴らしさ
愛することの幸せ
愛されることの幸せ
必要とされる喜び
必要とする喜び
別れることの悲しみ
すべてすべて
あなたから教わったことです
大切とはなんなのか
優しさとはなんなのか
あなたは真っ直ぐに
私に説いてくださいました
ミッチャン
けれど私 挫けそうです
そう言ったなら
あなたはきっと私を叱るのでしょうね
私は
あなたと別れてから
別れることの辛さ後悔を身を持って知ってから
後悔しないように
あなたが惜しみ無く注いでくれた愛情を
私も真っ直ぐに
真っ直ぐに
私の大切に注いでまいりました
裏側に永遠を添えて
愛してると真っ直ぐに
伝え続けてきたのです
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認めたくない思いがあった
信じたくない気持ちがあった
私の持つ二つの目に映った現実を
心がね 気持ちがね
離れたくなくて 否定してた
勘違いじゃないかって
否定してた…
時のなせる技
情のなせる業
追い詰められて
嫌がらせされて
それでも 求めていた 心
愛だったのか 意地だったのか
薄れていく気持ちが
どちらでもなく
人を信じたいと
強く願っている気持ちだったと教えてくれた
涼しげな風が流れる
南側の窓をあけ
北側の窓もあける
通り道ができた
風の行方は
私に辛い現実をみせたけど
一夜という時間が
客観性を産んだ
愛などなかった
最初から
この出逢いに愛などなかったのだ
与えたものは物理的に消費され
生まれた関係は
利用だったのだ
認めたくない思いが
邪魔をしたけれど
数々の言葉 仕草 を
冷静に回想してみれば
温もりだと感じたことがなかったと
気づいた…
今やっと呪縛から
解放される
今やっと現実に戻る
肩などなかった
最初からなかったのだ
もう 幻覚はみない
「おかえり…」
という言葉が
私を連れ戻してくれた
「ただいま」
春先 麗らかな午後
私は やっと 帰ってきた
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自分の子供を
殺してしまったような
悲しみ
可愛くて可愛くて
口もきけないあの子が
可愛くて
可愛いだけで
守れなかった
子を守れぬ母親など
消してしまった
最後の瞬間
現実がどこからで
空想はどこまでなのか
口もきけない
あの子が
父となる人と一緒に
その面影 愛しく
ただ ただ
涙 流れる
まだ見えぬ明日に
未来の我が子をよせて
日々 日々 いつか
現実になると
想いを馳せた
そして今日
殺してしまった
もう
私も死にたいんだ
追い詰められるのも
見てもらえないのも
悲しいだけで
疲れたんだ
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朝目覚めたら 陽射しが眩しかった
黄色と赤色の乱射光が早朝にも関わらず
キラキラ キラキラ 光ってた
通いなれてきたこの道で
毎朝すれ違う
おばあちゃんと挨拶を交わしてみたり
決まった交差点で会うおじさんと
歩幅を競い合ってみたり
いつも
同じ時間に会うあの人と
会釈をするようになったり
訪れる朝に
愛しさを感じる
もう苦しむのも苦しめるのも
終わりにしよう
ポカポカと春の訪れ
私の心に 青色の風が吹いた
いつだって これからだって
きらきらした朝を迎える
きらきら光ってる
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夢を見た
短い時間ではあるけれど
今尚その余韻から抜け出せないでいる
深夜2時冷えた部屋に戻って既に眠る頬に手を添える
嫌がるように寝返りを打ち
それでも寝ぼけた顔で私を包み込んだ
求めている優しさと温もりが此処にある
明日に対する不安も
三者に対する不安も
勝手に抱く妄想とは云い難くて
構えて発する言葉より
ふとした瞬間に洩らす本心が
目には見えない真実を語るのだろうね
「もういいから、大丈夫だから」そう言って背中に回した腕に
「私頑張ったんだよ」
これが精一杯で
泣き疲れて寝てしまった・・・