詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
去年より僕は上手く笑えてるかな?
街行く人波にまた助けを求めて
弱い僕は動く事さえできず
またこの場所で膝をついて
泪を流さぬよう空を仰いでる
きっと誰かに見付けてほしくて
笑顔のままで見えない泪を流しながら僕らは進んでいくしかないのだろう?
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夜空に映る星光と
水面に映る螢火
静かに流れる夜の夏風
聞こえてくるのは
蛙の歌声
木々の葉音と鳥の羽音
過ぎ行く時間は
時に速く人を惑わし
時に遅く人を導く
それぞれの
道を照らす光は
小さくはかなく
螢火と似ることを
知るすべを持たず
過ぎ行く時に惑わされぬよう
体に風を受け
夜空を仰ぎ
輝く星の下
今、立つ場所を
確かめるように踏みしめる
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窓から見える空は絵はがきのように澄んだ青空
流れる雲は留まっているかのようにのんびり流れてく
林の木々は風を受け微かに体をゆらし
雲の下を優雅に泳ぐ鳶が降りてゆく
夏の暑さに赤とんぼ
車窓に映る太陽に眩しそうに背を向けた
今日も一日ゆるりとした時間が穏やかに流れてく
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けだるい暑さと戯れながら流れる水に身を任せ
行く先知らぬ雲と共に
ゆらゆらゆらり流されて
夏の終わりの水遊び
二度とは来ない友との今を
ゆらゆらゆらり流れてく
また来年と契りをかわし
流れてく
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どんなに前に進みたいと願っても
心が体を鎖で捕まえてる
何もできない事を
嘆きながら
今日もまた
暗く小さな部屋の中で
小さくなって眠りにつく
自分の弱さを隠しながら
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こぼれ落ちる砂のように
過ぎ去っていく日常のなかで
何かを掴もうとしてひらいたその手から
何を無くしたんだろう?
何を掴めたのだろう?
今はまだわからなくとも
いつの日かきっと………
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今年最後の花火大会
最後の花火が盛大に打ち上げられた
だんだんと小さくなっていく喧騒の中で見上げたそこには
月明かりを浴びて白々と煙が漂っている
目蓋を閉ると
ふいに今は居ない君を思いだした
そこには無い君の手を握り締める
忘れたはずの涙が一粒零れ落ちた
今…………わかったよ
本当に君の事が好きだったんだって……
もう、戻れないあの日を思い
目蓋を開く
そこにはだだ月が輝いていた
あの白々と漂っていた煙は残り香だけを残し姿をけしていた
遠くから聞こえた友の声に慌てて涙を拭い
今年最後の花火大会が終わりをつげた……………
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決別の日
最後の視線を受けとめる
友は淋しさを
母は励ましを
父は心配を
「行ってきます。」胸を張って町を出た
月日は流れ
過ぎ行く日々に立ち止まり
流れる街に背を丸め
倒れるように眠りに就く
瞳を閉じると
決別の日の皆の視線が目蓋に映る
友は変わらず
母は優しく
「いつでも帰っておいで」と語りかける
けど父だけは、しっかりと僕を見据え
「逃げるな胸を張って生きろ」と語りかける
あぁ……今なら分かるよ
決別の日のあなたの瞳が心配だけではなく、期待を込めて見送ってくれたんだと
枕を濡らし僕は誓うよ
あなたの誇りに成れる様
胸を張って前を向いて歩いていくと
だから、もう少しの間その心配と期待を込めた瞳で見守っていてよ。