詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
愛を語るには
足りなくて
夢を語るには
知りすぎて
それが
大人になるって事なら
僕は大人になんて
なれなくていい
ただ
がむしゃらに夢を信じて
ただ
真っすぐに愛を求めて
大人になんて
なれなくていい
愛を語るには
まだ足りなくて
夢を語るには
もう知りすぎて
それでも僕らは
歩みを止めることなど
できはしないだろう
大人になりきれず
子供でもいられない
たとえ儚く散ったとしても
純粋な想いを胸に
生きて行きたい
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遣る瀬ない退屈さに
沸き起こる焦燥
車に飛び乗り
あてどなく走る休日の朝
誰もいない湖の畔
ただ湖面を眺め
瞳を閉ざす
昼下がりの暖かな車内
パチパチと弾ける音に
目を覚まし
ただ窓を流れて行く
雨を見つめ
瞳を閉ざす
雨の奏でる子守歌に
包まれる宵闇の午後
風に軋む
この揺り籠の中
もう少し眠ろうか
そしたらきっと
明日も穏やかな心で
過ごせるだろう
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曇った窓の向う
夕闇の中
孤高に輝く月は滲み
その姿を白に隠す
本当の姿を確かめようと
月の輪郭に触れた
拭う指先を伝う流れは
窓へと移り
まるで月の泪の様に
流れてゆく
その泪を止めたくて
やさしく親指を滑らせる
ただ一筋の泪を
止めたかっただけなのに
いつのまにか
幾つもの泪が零れていた
ただ君の涙を止めようとして癒そうとして
沢山の人を傷つけ
涙させた
自分の姿に重なって
ふいに涙が溢れ
頬を伝い
月の涙と共に音も無く
零れていった……
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白い白い霧に眠る世界
町並みは色彩を失ったかの様
力を奪われた太陽は
白々と空に浮かぶ
まるで白夜の世界に迷い込んだ気分
霞む朝に包まれた世界は
静寂に満ちている
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いつからだろう
騒々しい朝に慣れ始めたのは
いつからだろう
憂欝な昼に慣れ始めたのは
いつからだろう
明るい夜に慣れ始めたのは
世界に拒絶されたのか
世界を拒絶したのか
もう今では
感じる事の出来ない
鮮烈な感覚を夢見ながら
何もわからず
ただ彷徨い続ける
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この世界に降る雨は
苦しむ弱き者を想い
普く神々の流す涙のようで
この世界に降る雪は
悲しみに嘆く者を憂い
普く神々がもたらす癒しのようで
この世界に降る雷は
傲慢に虐げる者に怒り
普く神々の狂える裁きのようで
この世界に降る星光は
静寂に眠る者を誘う
普く神々の掲げる燈のようで
この世界に降る陽光は
この世に生ける全ての者を包む
普く神々の歓喜に奏でる歌のようで
時に激しく
時に優しく
いつも見守るように
そこにある大空が
僕はたまらなく好きなんだ