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雨蛙の部屋


[8] 月に煙る花の残り香
詩人:雨蛙 [投票][編集]

今年最後の花火大会
最後の花火が盛大に打ち上げられた
だんだんと小さくなっていく喧騒の中で見上げたそこには
月明かりを浴びて白々と煙が漂っている
目蓋を閉ると
ふいに今は居ない君を思いだした
そこには無い君の手を握り締める
忘れたはずの涙が一粒零れ落ちた
今…………わかったよ
本当に君の事が好きだったんだって……
もう、戻れないあの日を思い
目蓋を開く
そこにはだだ月が輝いていた
あの白々と漂っていた煙は残り香だけを残し姿をけしていた
遠くから聞こえた友の声に慌てて涙を拭い
今年最後の花火大会が終わりをつげた……………

2006/09/04 (Mon)

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