詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
あの時
私は知ったんだ。
私の歩いた道は
貴方がいた道。
貴方が誰かと寄り添い合ったベンチは
私が一人で泣いた場所。
貴方が聴いてたその曲は
私がアイツと聴いた曲。
貴方が好きだと言った人
貴方の過去を気にさせて、眠れなくさせる人。
今
私は気付いてしまったんだ。
同じ時期
同じ街で
過ごしてきたのだけれど
ちっとも逢うことがなかったのは
きっと神様が
二人にこんな切ない時間を与えるためだった。
詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
寒くて 寒くて
独りぼっちが嫌なのよ
だから貴方に来てほしい。
私の側で 私の為に
温かい飲み物を差し出して
温かくなるまでくっついててほしい。
雑音だらけのこの街だから、
思いを逃さず伝えたい。
電話じゃ駄目なの
今から貴方にメールを入れる。
真っ赤な鼻から溢れそうな汁気を
寸前まで出さないように堪えながら
この携帯でメールを打ちます。
冬の街並みの隙間風は
私の指先を凍らせて、
貴方に伝えたい思いを
なかなか伝えさせてはくれません。
寒さなのか
歯がゆさなのか
私は地団太踏んでます。
詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
『なんで夕方頃に連絡しても出ないの?もしかして忙しかった?』
当たり前だろ!
主婦には一番忙しい時間なんだから
『どうして起こしてくれないの?ちゃんと起こしてくれたの?』
当たり前だろ!
遅刻されたらこっちが困る。起きれない君が悪い
『どうして機嫌悪いの?僕のせい?』
当たり前だろ!
自分のマイペースさに気付いてくれよ
『…僕の事愛してる?』
当たり前だろ!
毎日当たり前で過ごせる君だから
私は懲りずに当たり前のように君の横にいるんじゃないか。
詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
いつもの予備校ですれ違うだけの君
名前も知らないのにおんなじ駅で下車する2人。
僕の地元にはロクな店もないのに
君は颯爽と僕を追い抜かす。
初めて話したのは確か予備校じゃなくって
下車する街の小さなレンタルビデオショップ。
男盛りの僕だからそりゃ助平なモノ借りるよ
いつものようにいつものレジに並んだけど
いつもとちがうよ
レンタルカードを見ながらはにかみ
僕の名前を呼んだ君。
僕は分が悪そうに
君の胸元に書かれた名前を呼ぶ。
詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
夜がこんなに寒いのは
夕方君に余計な事ばかり伝え続けたから。
独り寂しく音楽聴いて泣いていたのは
無駄な言葉達を君にぶつけてしまうから。
今背中に負担がのしかかっているのは
恐らく僕の傲慢さで背負った荷物。
貴方が泣いていて
誰かが僕を叱ったとしても、
僕にはその涙を止めることは出来ないのだろう。
どうしたら報われる?
どうしたら素直に過ごせる?
そんな疑問を後投げにしたから
今こんなに難しくなってしまったのだろう。
詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
微妙な距離を開けたままで
優しく微笑まないで。
どうせならいっそのこと
私を置き去りにして帰ってもいいの。
明日の事や
行きたい場所なんかや
街で流れる曲のタイトルなんか
思い浮かべる余裕なんかないの。
やっぱり少しでも
こんな私を愛おしく思えたなら
腕時計を外して、ただ何も言わず笑いかけて。
そうだよ。
私だってただの女だもん。
寂しいよ。苦しいよ。
苦い苦いお酒のつまみは
甘い甘い君との一時。
詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
街の外れの住宅街
知ってるかい?別名大奥。
貴方の街にも居るかもよ!?
平和と笑いのヒーロー戦隊が。
ヒーローとは名ばかりの
悪態吐いて悪を絶つ、灰汁の強い悪魔のようなオバハン軍団。
時には内輪で揉めるけど、解散なんて絶対ないね。
オバハンお得意○○さんとこと作戦会議!愚痴を嗜む程度に3時間!!
そんな戦隊の名は
P=とにかくポジティブ!!
T=トゥギャザー雑談!!
A=アイデンティティが強い!!
黙って秩序を乱すものなら
PTAは黙っちゃいないわよ!
あそこんちの奥さんと、○○さんと、同じマンションの○○さんに言いふらしてやるから!
詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
これ以上僕に何をしてほしいの?
君がどうにもならないと
悟って泣いた時から結論は出てたよ。
君にとって僕は無力な人間だと、
君はいつも僕と過ごして泣いていて、
僕はそんな君を見てるのが辛すぎて、
僕はもう…
僕はもう一緒にいれないし、いたくない。
君の中から消して。
美しかった時だけを心でホコリを払い、綺麗にしている君へ。
ごめんね。
それすらも嘘だったんだと
キッパリ捨てて。
綺麗なそれを
泥で踏みつけて汚して。
詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
ジンジンと静かに音を立てる焚き火を挟み
僕と君が四十の肩を揺らして笑う。
夏の名残の真っ黄色な月明かり。
流れゆく火の粉を吸い上げる。
エンジ色した炎が僕の耳まで真っ赤にすれば、
炎越しに揺らめいた君の姿に改めて恋をする。
夏の終わりは切ないけれど
まだまだ何度も夏は来る。
今、こんなに嬉しいのは
二十路、三十路、四十路…
そしてこれからもずっと同じ君と夏を生きるから。
詩人:まとりょ〜鹿 | [投票][編集] |
ほら見ろ
やっぱり雨が降り出してきた
夢で映し出した通り、僕は濡れ鼠。
ほれ見ろ
やっぱり今日だったんだ
君に冷たい態度で本音を語られたのは
前から君のメールの短くなってゆく文面通り、僕は飽きられた。
ほい見ろ
こんなに僕は笑えないし泣けもしない
僕の長年培われた
否定精神が
僕の予感をこんなにも的中させる。
こんなことは
嬉しくもないし
誇れない