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まとりょ〜鹿の部屋


[148] 緩んだ口角
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

父が
奮発してライカのカメラを買った夏。

私達は
沢山いろんな場所へ連れて行ってもらった。

母は
いつもシャッターを押す。でも写るのが苦手。
父は
いつでもそんな母を笑って茶化した。

母は
笑顔で沢山の私達の写真をアルバムに収めた。
私達は
笑顔でアルバムを開いては母と笑った。

私は子供を産んだ。沢山の写真を撮った。

あの時の母のように
シャッターを押す私の顔は
いつでも口角が緩みっぱなしで

写真には収まらない程の沢山の笑顔を子供にあげる。

目元の笑いシワと
作られてゆく沢山のアルバム。

こうして確かに存在した母の遺伝は繰り返し
私の顔に残っている大切な宝物なんだと。

2006/07/07 (Fri)

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