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まとりょ〜鹿の部屋


[155] 家族
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

明日私はこの家を出ます。

『他に夕飯何食べたいんだ?』
テーブルには溢れかえるような父の料理。

父はいつもより少し優しくて
それが余計切なくて泣けてきた。

寂しそうに父は酒を飲んで
昔を懐かしむように話していた。

『何も明日から私が変わる訳じゃないのよ』
私は父に笑いかけた。

『いや、変わっちまうんだよ。
お前は俺の娘から、母親になるんだから…。』

庭に咲いた夕顔と
伸びきった蔓。
時間は誰にでも早く流れた。

ヨチヨチ歩きの
泣き虫だった末っ子の私は
明日から妻になり、そして母親になります。

照れて父は私に挨拶なんてさせてくれなかったけど
玄関を出る時に言わせてね。

『行ってきます。ありがとう。』

2006/08/01 (Tue)

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