ホーム > 詩人の部屋 > まとりょ〜鹿の部屋 > 漫画ちゃん

まとりょ〜鹿の部屋


[230] 漫画ちゃん
詩人:まとりょ〜鹿 [投票][編集]

恋をしました。届かぬ君へ、触れぬ実情。

“もどかしさ”と書いて愛を叫ぼう。

私は非現実主義の
所謂懸念されがちな
ユメミオトメ。

紙とインクだけの世界で良かった。

創造主である神の愛着はしっかりと伝わってるのよ。

神がこの人を生み出してくれたのに感謝です。

週に一度、ページを捲れば
アナタと逢える、見つめています。

実際トリップ出来たらなんて考えたけど
やっぱり無理だと思うのは

“行けない”じゃなくって
“生けない”なのよね。アナタの世界は。私。

だってこんな温い世界よりも
アナタが生きる世界は険しい戦道。
私なんかが踏み入れていい場所じゃないもの。


創造主…神よ
だからお願い。
この紙面から
あの人を消さないで。


彼の額から流れる黒塗りインクが
そして彼を取り囲む人物たちが
グワリグワリと表情を貼り付けては

慌てて遮る綴じた本の音。
駄目だ、もう駄目。息が止まってしまいそう。


沢山作り上げた
彼の人格すらを
血生臭い描写で
全て奪わないで
思い出なんか語らないで。

ただの紙とインクだけの世界だけど

私の涙で
世界が歪んでしまうから。

私の涙で
本当に彼が滲んでしまうから。

嫌われてしまうより辛い、恋の終わりに
私は読者から漫画ちゃんになる。

だってもう
現実になんか戻ってやれない。

2008/02/29 (Fri)

前頁] [まとりょ〜鹿の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -