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チェシャ猫の部屋  〜 投稿順表示 〜


[193] 並行世界に散る花弁
詩人:チェシャ猫 [投票][編集]

祈っているよ
色彩も薫りも失せた花弁が
忘れられた並行世界に音無く散在したとしても・・・・・・




隙在らば引き擦り込もうと手招く
表層だけが色付いた輪郭の曖昧な誘惑
手にして舌を這わせその味を確かめてみても
無機質な刺激が僕を狂わせる


溢れ出そうとする感情と感傷に理性で蓋をして
崩れ出そうとする世界の秩序を保っていた


言葉一つで選べた筈の
手を伸ばせば貴方をなぞれる並行世界

繰り返しこの身をなじっても変わらぬ今と
二度と交わることは叶わぬ失った世界の面影に溺れ
響かぬ声でその名を呼び続けている



願っているよ
色彩も薫りも失せた花弁が
貴方の微笑う並行世界に届かぬように

祈っているよ
涙と後悔で彩られた花弁が
忘れられた並行世界に音無く散在したとしても



微笑っているよ
色彩と薫りに飾られた貴方の居る世界が
僕と歩む並行世界よりも美しく在るようにと・・・・・・



2008/10/22 (Wed)

[194] モビー・ディック
詩人:チェシャ猫 [投票][編集]

忘れられない人と忘れたい自分

その2つを天秤にかけてみても
比べられないから僕は旅に出た

薄刃の三日月が微笑う長い夜
黒猫の尻尾を目印に


戸惑う指を5本ずつ
絡めて作った結び目が
解けぬようにと紡いだ言葉


忘れないでと言った君
忘れないよと言った僕


途切れて消えた足跡を
時計の針が見届けた


忘れないでと願う僕
忘れたいのと笑う君


微笑った二人の面影が
剥がれて散って星になり
白い鯨の夢を見る


2010/08/17 (Tue)

[195] 弱虫羊は微笑って夢を見る
詩人:チェシャ猫 [投票][編集]

夏の夜に一人きり
弱虫羊が夢を見た
星影浴びて軽やかに
貴方と踊る夢を見た

二つ並べた枕に残る
頭の形の窪みは一つ
右手に触れたグラスに残る
琥珀の色した寂しさ一口
飲み干し目を閉じ眠りに就いた


夏の夜空に一つだけ
弱虫羊は祈りを投げた
月影辿って行き着く先で
貴方と微笑う夢を見た


弱虫羊が見た夢は
弱虫羊が愛した人は

弱虫羊が手を振った
弱虫羊の願いは一つ


夜の眠りを一人きり
弱虫羊は抱きしめた
星影浴びて微笑って言った
言えなかったさよならを



弱虫羊は夢を見た
貴方と踊る夢を見た

2010/08/20 (Fri)
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