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チェシャ猫の部屋


[180] アイヲワスレタヒト
詩人:チェシャ猫 [投票][得票][編集]

表情すら失くして堕ちてゆく孤独な夜の中
彷徨い歩いて見付けた僕の居場所を
汚れた両手で強く抱きしめている
無くさぬ様に 失くさぬ様に・・・


切り売りされていく愛に絡み取られ
何時からか表情は失った
乾いた心にも咲く花を求め
感情の無い嘘を繰り返す

夜に舞う極彩色の蝶達が口々に謳うのさ
「貴方のことは私が一番分かっている」
愛の無い愛の言葉なら囁いてあげるから
・・・ねえ誰か塗り固めた仮面の下の涙を拭って


息遣いすら薄れて溶けてゆく体温の傍
失って気付いたたった一つの居場所を
零れた涙で濡らし続けている
忘れぬ様に 忘れられぬ様に・・・



刻み込んで
僕が貴方の傍にいた証を
思い出の中だけでも二度と途切れはせぬように

咲き乱れて
せめて貴方を感じた瞬間だけは・・・

散り行くが故の美しさと知っていても
嘘すら愛の輪郭であると感じさせて




夜を飾る極彩色の蝶達は各々に求めるのさ
「貴方と一つになりたい」
愛の無い愛の行為になら付き合ってあげるから
・・・ねえ誰か外せなくなった仮面の下の涙に気付いて


愛の無い愛の言葉なら囁いてあげるから
・・・ねえ誰か仮面の下の僕を愛して



2007/05/09 (Wed)

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