詩人:弘哉 | [投票][編集] |
不思議と笑みは崩れない
安息なんて忘れたのに
定まらない鼓動は内面から
なさけなく俺を壊すけど
理解を得たいんだ
想像だけじゃ収まらない
郷里が恋しい
がきな自分がそこにいて
遠い空ではひたすらに
くもった窒素が蔓延してる
にごった水が映すのは
見慣れぬ表情それだけで
えてして俺は失った
てこでも動かぬ遅すぎた
だんだん夜は更けていき
かさね見たのは己の手
らんぷが灯したその先に
切られた受話器が鳴いていた
なぜかな?すべてが遅すぎた
いつもが今日は戻らない
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天を仰げば頬伝い
地を見つめれば色を変え
だから腕へと押し付けて
声を殺していればいい
気付けばそれは消えていて
最初に思う強さだけ
妙に虚しく残ってて
最後は一つ羨望が
枯れて果てたら残るのは?
渇いた心潤いは?
人のそれには目を細め
羨み嫉み思うだけ
もう俺からは流れない
人の証は流れない
それならいっそ心さえ
凍てつき砕け消えされよ
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溢れてくるものが多すぎて
パンクしそうな箱の中身を
ぶちまけてしまったら何もかも捨てたようで
寂しくなるのはおかしいことか
箱は木じゃない丈夫じゃない
紙だ濡らせばすぐ溶ける
厚紙ならばマシなのか
だけど脆いし危ないし
無理矢理つめた箱の中は
他人から見りゃガラクタだらけ
底の見えないその箱は
俺にとっては宝箱
自分にしか見えない
俺だけの宝箱
中身はガラクタ
俺だけの宝
溢れ出すのもガラクタで
それを文にするのも結局は
さてさて今日もガラクタを
集めて表し遊ぼうか
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くだらないぜ
くだらない
俺を偽って何が楽しいってんだ
賢さ偽って何が楽しいってんだ
そのまま書けばいいさ
俺のまま書けばいいさ
そうして崩れようが
コーティングしたままよりはずっとマシだぜ
綺麗に見せるために引いた辞書は
俺の語彙の少なさを隠すため
実際会って話してて
がっかりされたのは目に見えて分かる
え?何?なんですか?
問い返しさえ馬鹿の一つ覚え
そうさ馬鹿だよ
俺はこんなものさ
勝手に決めて俺に期待しないでくれ
期待させてるのは俺自身
偽りで魅せてるのは俺なのに
頭と心は矛盾して
一緒のものだなんて信じられないね
真逆の意見が対立するのは
当たり前のようであって当たり前じゃない
他人ウケウリの言葉で隠して
俺自身の言葉なんてどこを探せばいいんだと
I'm looking for something.
くたくたになっても彷徨い続ける
I'm looking forward to finding it.
たとえ見つからなかったとしても
あぁ何が本当なのかなんてもう知らない
どれが本物なのかなんてもう信じられない
俺の中の俺自身に問いかける言葉は
え?何?なんですか?
俺が分からないよ
さっぱり分からない
今まで生きてきて俺自身が分かったことなんて
一度だって無いってのに
分かったフリして分かってなかったのに
なのに今また分からなくなっただなんて言ってる
俺が分からないよ
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脳が重たい
どうしよう
俺の頭から文字が消えた日
涙が消えても平気だったのに
なぜ
なぜだろう
どんなものを読んでも
どんなものを見ていても
身体が反応しなくなった
気に入ってた小説
つまらない
投げ捨てた
気に入ってた曲
うるさいだけ
電源落として
どうしよう
何を見ても何も感じない
頭が麻痺してる
たった一回長引かせた風邪が
俺から文字を奪っていった
返してくれ
確かに何も要らないって言ったけど
返してよ
文を生み出せない俺なんて要らない
何をしても楽しくない
好きだったものがすべて退屈
なんでだよ
なんで
返してくれ
俺の好きを返してよ
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喉につかえた言葉を
無理やりにでも吐き出して
伝えたいことはちゃんと言ったって思ってた
自己満足
ピストンみたいに
空気鉄砲みたいに
勢いつけただけの言葉には
全然伝える力はなかったんだ
勢いつけただけの言葉が
通り抜けるたび
細かい傷が出来て
いつか喉から通らなくなった
傷は伝わらなかった言葉でかたまって
伝えられないもどかしさでかたまって
吐き出せさえしなくなった言葉が
どうやって伝えられるのだろう
気付く前に
終わった話
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空から舞い降りた黒翼は
ひらりひらひら
お互いを隠しながら
どうせ消えてしまう運命ならば
どうか、どうか
偽ったままでもいい
どうか、どうか
地についた黒翼
覆い隠したものは
なんだったのだろう
今は知れない真実は
己より美しいものを隠して
生きることこそ美なのかと
問いかけることさえ叶わない
消えないくらいに乾ききった
雨とも知れぬ
涙とも知れぬ
想いはまざまざ混ざり合って
色はもうない
黒か赤かも分からない
それは血なのか
涙なのか
風とともに消え行き
風とともに去り行く
次の場所へと
己を美しく装いながら
そして消えていく
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広い広い空の下
俺はちっぽけだって叫んでた
声にならない声が喉を切り裂く
それでも俺は叫んでた
ちっぽけだって叫びすぎて
血を流す喉元だって
気にしちゃいられない
まだまだ叫んでなきゃならない
これは贖罪だ
罪深い俺が赦されることはないけれど
ちっぽけな人間が
尊きものへ犯した罪は
何よりも赦されるものではないけれど
ああ俺はちっぽけなんだ
叫ぶことでしか
俺の存在意義が見出せない
それだけ
ちっぽけな人間がここにいる
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優しい分家の叔父さんが笑って教えてくれたこと
俺が産まれたときのこと
『見舞いは誰一人行ってない』
とても簡単なことだった
勘の良かった子供の俺は
生まれちゃいけなかったことを知る
年々増える祝福の灯は
吹き消す度に教えてくれた
俺は存在しちゃいけない
今夜も吹き消す灯を想う
本家の祖母は笑ってた
姉貴を撫でて言っていた
『あんたは必要な子なのよ』
ひねくれ育った子供の俺は
忌み子の存在を一人知る
遅すぎる存在を一人知る
本家の長男夫婦の息子
跡は継げない忌み子の子供
何も知らないはずの子は
知ってしまった
それ故に
今日は俺の生まれた日
あってはいけない誕生日
大人のエゴを抱えた俺は
年に一度の涙を流す
何も知らない子供の俺は
灯を消しながら一人泣く
今日は俺の生まれた日
あってはいけない誕生日
期待してない祝福は
瞳の奥に宿ってる
俺は生まれちゃいけないと
誰が決めたというのだろう
自身が引きずるこの想い
捨てれりゃ幾分楽だろう
あってはいけない誕生日
俺の生まれた今晩は
俺が生きると決めた日だ
何と言おうが構いやしない
俺は生きるさ
生きてやる
忌み子は誓う
己の存在を堅く誓う
何と言おうが構いやしない
ここにいるのは必然だ
生まれたのだから生きてやる
傷痕一つ無い手首
強く笑うさ
生きてやれ
俺は俺とし
生きてやる
今日が俺の生まれた日
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しとしと
シトシトシト
誰が泣いているのでしょう
孤独に耐え切れず
誰が泣いているのでしょう
高い高いお空の上で
真っ白い雲の合間から
しとしと
シトシトシト
涙を降らせております
しとしと
シトシトぴしゃん
地上まで降りてくる
その距離というものは
誰かにとっての地面にいる
私たちにとっては
とてもとても遠いもの
だけれど
シトシト
その涙を降らせている誰かにとっては
とてもとっても近い距離で
誰が泣いているのでしょう
ダァレもいない静寂の中
誰が泣いているのでしょう
生けとし生きるものすべて
そう
それはきっと